カンボジアで途切れた息子の位置情報 犯罪グループに巻き込まれた可能性
福岡県在住の20代の男子大学生が、昨年12月以降、渡航先のカンボジアで行方不明になっていることが県警への取材で明らかになった。出国の状況などから、詐欺などの犯罪グループに巻き込まれている可能性が高いとみられており、安否を案じる母親が18日、取材に応じて胸の内を語った。
「友人と旅行に」と出国したが位置情報はカンボジアで途絶
母親によると、大学生は昨年12月に出国。知人に誘われて2泊3日で旅行に行くという趣旨の話をしており、行き先としてアジアの近隣国を挙げていたという。帰国後の予定も入れていたが、海外旅行は初めての経験だった。
家族では普段からスマートフォンの位置情報を共有しており、当日には予定していたアジアの国に到着したことを確認した。しかし、翌日ごろに位置情報を確認すると、カンボジアを指していた。
その後、位置情報はカンボジア国内を転々と移動し、やがて動かなくなった。スマートフォンの電源が切られたのか、その後はLINEも既読にならず、音信不通の状態が続いている。
SNS上の勧誘で「無料旅行」の罠に 友人の消息も不明
母親は帰国予定日を過ぎても帰らなかったことから、警察に行方不明届を提出。外務省や現地の日本大使館にも連絡した。
事情を知る人がいないか探しているうちに、同行したアルバイト先の友人男性の存在が浮上した。さらにこの友人が、SNS上で知り合った人から「会社の経費で旅行代を負担する」と誘われていたこともわかったという。
SNS上の人物は共通の趣味を通じて数カ月やりとりを重ねた末に「旅行」を持ち出しており、行き先は直前まで二転三転していたという。現在、友人の消息もわかっていない。
巧妙化する詐欺グループの手口 国際化する犯罪拠点
外務省によると、「旅行の口コミを書くだけのアルバイト」「無料で航空券を手配する」などの言葉で誘われて海外に渡航し、詐欺などに加担させられるケースが相次いでいる。
同省は高額収入をうたう「闇バイト」への注意喚起を出してきたが、担当者は「手口が巧妙化し、知らないうちに巻き込まれるケースもある」とし、注意を呼びかける。
背景にあるのは、詐欺グループの拠点の国際化だ。警察庁は昨年、タイ、カンボジア、マレーシア、フィリピンの拠点の摘発で日本人ら54人を検挙した。8割が20~30代だった。
母親の切実な訴え 「無事で帰ってきてほしい」
母親は、若い世代が海外の犯罪拠点に巻き込まれる事例が相次いでいることを広く知ってもらい注意喚起したいと、取材に応じた。
息子は慎重で保守的なタイプだといい、母親は「友人と一緒ということや、『現地を案内する、通訳する』などと安心させるようなことを言われていたので、ハードルが下がったのかもしれない」と推察する。
出発の朝、出がけの姿を見たが、朝食を食べていったかも定かではない。「『居場所を教えて』『体調はどうか』と声をかけたい」と語る母親は、同世代の若者や家族に向けて、強いメッセージを発信する。
「SNSで知り合った相手の紹介による海外旅行、特に無料などと言われた場合は慎重に判断してほしい」と訴え、息子の無事な帰還を切に願っている。



