広陵高校野球部いじめ認定、第三者委「重大な人権侵害」と指摘
広陵高校野球部いじめ認定、第三者委「重大な人権侵害」

広陵高校(広島市安佐南区)は28日、部員間の暴行事案に関する第三者委員会の調査報告概要を公表した。報告は「複数の上級生が関与する集団的態様での暴力行為や威圧的行為があった」と認定し、いじめ防止対策推進法に基づくいじめに該当すると結論づけた。また、当時の監督による不適切な発言も認め、閉鎖的な指導体制を問題視した。

暴行事案の経緯

広陵高校硬式野球部では、昨年1月に寮内で禁止されているカップラーメンを食べたことを理由に、元部員が上級生4人から頬や胸を叩かれるなどの暴行を受けた。この事案を受け、日本高校野球連盟は昨年3月に厳重注意処分を下した。しかし、転校していた元部員側が「事実関係に誤りがある」と訴えたため、学校は昨年10月に弁護士による第三者委員会を設置した。

調査報告の内容

28日に公表された調査報告では、暴力行為について「単なる注意や軽微な身体接触にとどまらない」と認定。被害生徒に強い恐怖と精神的苦痛を与えたと指摘し、「暴力行為は教育的指導の範囲を明らかに逸脱する重大な人権侵害」と評価した。原因として「甲子園出場を最重要目標とする過度な同調圧力があり、妨げる者を制裁する集団心理が働いた」と分析した。

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また、事案発覚後、当時の中井哲之監督が元部員に対し「高野連に報告すればチームの不利益につながる」趣旨の発言をしたことも認められた。この発言が元部員の転校の決定的な契機となったとしている。

閉鎖的な組織性

報告は、30年以上監督を務めた中井元監督の指導方法や寮のルール、上下関係のあり方が時代に適しているかを点検する機能が働きにくい閉鎖的な組織性を指摘。学内での中井元監督の発言力が強く、学校側が十分に監督してこなかったと批判した。再発防止策として、中井元監督の部活動への関与排除を提言した。

学校対応の問題点

事案発覚後の学校対応については、当初からいじめと認定せずに通常の生徒指導事案として処理した点を問題視。元部員からの十分な聴取や追加調査が行われず、実態把握が不十分だったと指摘した。また、元部員の安全確保や心理的支援に不備があったと認め、実態解明が不十分な段階で高野連に報告したことで過小な取り扱いになったと結論づけた。

学校の今後の対応

広陵高校の弓場久司事務長は28日、取材に対し「学校の対応が後手に回り、被害生徒を守れず深く反省したい」と述べた。学校は今後、硬式野球部の全寮制を廃止し、理事を務める中井元監督の処遇を理事会で決定する方針。

過去の類似事案

硬式野球部をめぐっては、別の元部員も3年前に寮内で暴力や暴言を受けたと訴えていた。その際の第三者委員会は「事実を認めることは困難」と結論づける一方、野球部内の問題が部内のみで処理される傾向にあるとして学校側の問題点を指摘していた。

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第三者委員会の調査報告要旨

事実認定

  • 昨年1月21、22日、複数の上級生が関与する集団的態様での暴力行為や威圧的行為があった。
  • 中井哲之元監督が被害生徒に「高野連への報告がチームの不利益につながる」趣旨の発言をした。
  • 暴力行為は強い恐怖と精神的苦痛を与えるもので、元監督の発言は被害生徒が転校する決定的な契機となった。

評価と原因分析

  • 暴力行為は教育的指導の範囲を明らかに逸脱する人権侵害であり、いじめ防止対策推進法上のいじめに該当する。
  • 「甲子園出場」を最重要目標とする過度な同調圧力があり、妨げる者を排除・制裁する集団心理が働いて私的制裁を生じさせた。
  • 卒業生中心の指導体制が長期間維持され、元監督の指導方法や部内文化を客観的に検証し、寮のルールや上下関係の在り方が時代に適合しているかを点検する機能が働きにくい閉鎖的組織だった。

学校対応の問題点

  • いじめとしての認識が欠如していた。
  • 被害生徒への十分な聴取が行われず、実態把握が不十分なまま調査を終わらせた。
  • 実態解明が不十分な段階で、一部生徒が認めた限定的な内容を前提とした報告書を高野連に提出した。