ハンセン病回復者として長年にわたり表現活動を続け、昨年12月に亡くなった加藤博子さん(享年80)の作品展が、東京都東村山市にある国立ハンセン病資料館で開かれている。会場には、隔離生活の苦難と向き合いながら創作した絵画や編み物など、計24点が展示され、来場者の心を打っている。
加藤博子さんの生涯と作品
加藤博子さんは1943年に生まれた。10歳のときにハンセン病と診断され、静岡県の駿河療養所に入所した。その後、岡山県にある長島愛生園の邑久高校新井田教室に進学。在学中から絵画の才能を発揮し、美術展に入選するなど高い評価を得た。
1964年、駿河療養所で出会った入所者の加藤健さんと結婚。社会復帰を目指して編み物の技術を習得し、経済的自立と新たな生き方を模索した。夫の健さんは朝鮮半島にルーツを持つが、自らの出自について多くを語らず、2022年に亡くなっている。
展示作品の見どころ
展示作品の中でも特に目を引くのは、赤い背景に鋭いまなざしの人物を描いた絵画だ。隔離された環境での孤独や怒り、そして希望が込められている。また、編み物作品には、細やかな技術と温かみが感じられ、彼女の生きる力が表現されている。
国立ハンセン病資料館の学芸員は「加藤さんの作品は、隔離という過酷な経験を乗り越え、人間の尊厳と創造性を示している。多くの方に観ていただきたい」と話している。
開催概要
- 会期:2026年5月9日(土)から7月20日(月・祝)まで
- 場所:国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)
- 開館時間:午前9時30分~午後4時30分(月曜休館、祝日の場合は翌平日休館)
- 入館料:無料
この作品展は、ハンセン病回復者の芸術活動を広く知ってもらうとともに、隔離政策の歴史と人権問題について考える貴重な機会となっている。加藤博子さんの遺した作品を通じて、多くの人が共生社会の大切さを感じ取ることだろう。



