オンライン会議で突然解任、「違法」と訴えた役員 非対面の功罪とは
オンライン会議で解任は無効 東京地裁判決の波紋

会場を設けずにオンラインだけで開く「バーチャルオンリー」の会議で、一般財団法人の役員を解任した決議は無効だ――。東京地裁が4月、そんな判決を言い渡した。オンライン会議が社会で幅広く定着している中、何が問題となったのか。

事件の背景

裁判で焦点となったのは、企業の社史編纂などを手がける一般財団法人・日本経営史研究所(破産手続き中)が昨年10月に開いた「臨時評議員会」。一般財団法人の評議員会は、株式会社の株主総会と同じように法人の最上位の意思決定の場だ。

判決のポイント

  • 現行法上、バーチャルオンリー評議員会は違法
  • 上場企業の株主総会では一部解禁されている
  • 規制緩和に向けて議論が進むが、ガバナンス低下の恐れも

4月7日の判決などによると、オンライン会議システム「ZOOM」上の会議で、代表理事の女性1人と理事の男性1人を解任する決議がなされた。職務上の義務違反などが理由とされた。

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会議には評議員6人が出席。うち1人は決議の際に「利害関係にある」として、議長に強制退室させられた。解任された2人は会議に出席できず、解任の理由に心当たりもなかったという。2人は「法人を乗っ取られた」と考えて裁判を起こし、決議の取り消しを求めた。

裁判では、対面なしのバーチャルオンリーによる決議の有効性が争われた。判決は「場所」を指摘し、一般財団法人法が評議員会の開催場所を定めている点を重視した。同法は評議員会を「評議員全員が一堂に会する場所」で開くことを前提としており、オンラインのみの開催は認められないと判断した。

オンライン会議の法的課題

この判決は、コロナ禍以降急速に普及したオンライン会議の法的な限界を示すものだ。上場企業の株主総会については、2022年の会社法改正でハイブリッド開催が認められたが、一般財団法人などの非営利法人には同様の規定がなく、バーチャルオンリーの会議は違法とされた。

今後の展望

政府は規制緩和に向けた議論を進めているが、オンライン会議では出席者の意思確認や議事運営の透明性が低下するリスクも指摘されている。今回の判決は、非対面での意思決定の功罪を改めて問い直す契機となるだろう。

原告側は「法人の乗っ取りを防ぐ画期的な判決」と評価する一方、被告側は「時代に逆行する」と反発しており、控訴の可能性もある。オンライン会議の活用拡大とガバナンス確保のバランスが、今後の課題となりそうだ。

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