JR美祢線、BRT復旧事業の素案が承認される
2023年の記録的な大雨により全線が不通となったJR美祢線について、バス高速輸送システム(BRT)での復旧を目指す法定協議会「美祢線沿線地域公共交通協議会」が4日、山口県庁で会合を開き、BRT事業の概要を盛り込んだ地域公共交通計画の素案を承認した。計画期間は2035年までの10年間で、同年度の輸送密度(1キロあたりの1日平均利用者数)の目標値を「400人以上」と設定。これは鉄道時代や代行バス運行時の実績を上回る数字となっている。
基本方針と具体的な目標
素案では、以下の三つを基本方針に掲げている。
- JR美祢線に代わる新たな公共交通ネットワークの構築
- 誰もが安心して利用できる持続可能なBRTの提供
- BRTを軸とした地域活性化の推進
これに基づき、八つの基本目標を設定。公共車両優先システム(PTPS)の整備、運転士不足への対策、停留所環境の改善、観光資源としてのBRT活用など16事業に取り組む方針だ。
評価指標として、2035年度の輸送密度は代行バスの2024年度実績307人、鉄道時(2022年度)の377人を上回る「400人以上」に設定。1日の運行本数は鉄道時(2022年度)の1.5倍にあたる「27本以上」を維持し、秋吉台や長門湯本温泉など美祢線沿線の観光拠点への来場者数を2024年度の219万人から「230万人以上」に引き上げる目標も掲げた。最終案は今秋開催予定の次回会合で示される見通し。
停留所計画と実証運行
同日の会合では、停留所の設置場所を通常ルートと快速ルートで計21か所とする事務局案が提示され、10月から来年3月にかけて実証運行を実施することも確認された。鉄道駅からの移設や新設の停留所も含まれ、実証運行では定時性や速達性の確保状況、各停留所の利用者数などを把握する。実証期間中は、JR6社などによる大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」が県内で展開されるため、10~12月の土日祝日には長門市の道の駅「センザキッチン」へ往復3便を運行。停留所「長門市」から快速ルートを延伸する計画で、利用状況を踏まえて今後のルート策定に反映させるという。
会合後、法定協議会会長を務める平屋隆之副知事は「これまでの協議内容を盛り込んだ素案を承認いただき、BRTの大枠が固まった。これを具体化するため、さらに議論を深めたい」と述べた。



