大阪市が国家戦略特区制度に基づき推進してきた「特区民泊」をめぐり、2025年度に同市に寄せられた苦情件数が過去最多の723件に達したことが、同市への取材で明らかになった。これまでの最多は2019年度と2024年度の399件で、今回の数字はそれを大きく上回る。
苦情の内容は騒音やごみ、運営側の対応に集中
市によると、周辺住民などからの苦情の内訳は、宿泊者による騒音やごみ出しのマナー違反に加え、運営側に連絡しようとしても「連絡がつかない」「対応が不適切だった」といった内容が多くを占めたという。こうした苦情は過去にも相次いでおり、市は2025年秋に新規開業の受け付けを2026年5月29日で停止する方針を公表している。
特区民泊の背景と現状
特区民泊は、増加するインバウンド観光客の受け皿として導入された制度だ。大阪市はホテル不足を背景に2016年から推進し、現在では全国の特区民泊の9割以上が同市に集中するまでに至っている。しかし、受け付け停止方針の公表後も駆け込み申請が相次ぎ、2026年3月末時点の施設数は8360施設と、前年同期比で約4割増加した。
大阪を代表する観光名所である通天閣周辺には多くの民泊施設が立ち並び、チェックアウト時間帯にはスーツケースを引く観光客の姿が日常的に見られる。地域住民の間では、生活環境の悪化を懸念する声が強まっている。
市は今後、新規開業の停止期間中に課題を整理し、適切な運営ルールの策定を目指す方針だ。



