高級車窃盗団が故障診断機を悪用、被害総額10億円に及ぶ
大阪府警は2026年2月17日、自動車整備工場などで使用される「故障診断機」を悪用し、レクサスやアルファードなどの高級車を繰り返し盗んだとして、住居不定で無職の江碕亮容疑者(41歳)ら男女2人を窃盗容疑で逮捕し、捜査を終了したと正式に発表しました。両容疑者は既に容疑を認めており、そのうちの1人は「車を売却して金銭を得るためだった」と動機を語っていると伝えられています。
巧妙な手口で11府県に被害拡大
府警捜査3課の調べによると、江碕容疑者らは他の氏名不詳者と共謀し、2020年5月から昨年2025年5月にかけて、大阪府吹田市の駐車場をはじめとする複数の場所で、アルファードやクラウン、レクサスなどの高級車を盗んだ疑いが持たれています。府警はこれまでに、大阪、愛知、静岡など全国11府県において、計356件の事件を確認。自動車210台の盗難に加え、空き巣や事務所荒らしなどの関連被害も含め、総額約10億円相当の被害を裏付けたと強調しています。
故障診断機を用いたスマートキーの複製手法
容疑者らは、まず解錠用具を用いて車両のドアの鍵を物理的に開け、その後、自動車整備工場などで通常は車両の故障診断に使用される「故障診断機」を車載コンピューターに接続。この装置を悪用して、車載コンピューターからスマートキーの情報を不正に盗み出し、その場でキーを複製していたとみられています。この手法により、高度なセキュリティを備えた現代の高級車でも、比較的短時間で盗難が可能となっていた実態が浮き彫りになりました。
府警が押収した故障診断機は、車のコンピューターシステムに直接アクセスし、スマートキーの複製を可能にする機能を有しており、専門的な知識や工具がなくても操作できる点が問題視されています。これにより、窃盗団が組織的に活動を拡大させていた背景が推測されます。
容疑者らは既に起訴、今後の捜査に注目
現在、江碕容疑者ら2人は、クラウンを盗んだ窃盗罪の1件で既に起訴されており、司法手続きが進められています。府警は、今回の逮捕を契機に、背後に潜む更なる共犯者やネットワークの解明に向け、継続的な捜査を実施する方針です。また、同様の手口による窃盗事件が他地域で発生していないか、全国的な注意喚起も行っていく予定です。
この事件は、自動車技術の進歩に伴い、整備工具が犯罪に悪用される新たなリスクを顕在化させました。関係当局は、故障診断機などの専門機器の管理強化や、車両セキュリティシステムの見直しを迫られる可能性があります。被害に遭った車両の所有者からは、早期の事件解決と再発防止を求める声が上がっており、今後の対応が注目されます。