那須雪崩事故控訴審判決 元教諭2人に執行猶予、1人は実刑維持 東京高裁
那須雪崩事故控訴審 2人執行猶予、1人実刑維持 (04.03.2026)

那須雪崩事故の控訴審判決 元教諭2人に執行猶予、引率者は実刑維持

栃木県那須町で2017年3月、県立大田原高校の山岳部員7人と教諭1人が死亡した大規模な雪崩事故をめぐる刑事裁判の控訴審判決が、2026年3月4日に東京高等裁判所(田村政喜裁判長)で言い渡されました。業務上過失致死傷罪に問われた当時の教諭ら3人の被告に対し、高裁は一審判決を一部変更。2人の被告には禁錮2年執行猶予5年を宣告し、残る1人の被告については禁錮2年の実刑判決を維持する判断を示しました。

判決内容の詳細と高裁の判断理由

執行猶予付きの判決を受けたのは、猪瀬修一被告(59)と渡辺浩典被告(63)の両名です。一方、事故で亡くなった8人が所属する班を直接引率していた菅又久雄被告(57)に対しては、一審で言い渡された禁錮2年の実刑がそのまま確定することとなりました。

東京高裁の判決理由では、猪瀬被告と渡辺被告について、現場で直接的な指示を出す立場ではなかった点を重視。「実刑を科すことは不合理である」と明確に指摘しました。これにより、一審で示された「3人の刑事責任に軽重の違いはない」という判断を事実上否定する形となりました。

対照的に、菅又被告に関しては、「班の命運を実質的に握っていた引率者としての責任は重大である」と認定。雪崩発生時の判断や対応について、実刑を免れないほどの過失があったと結論づけました。事故当日、山岳部員らは複数の班に分かれて訓練を行っており、この組織的な活動が責任の所在をめぐる争点の一つとなっていました。

事故の概要と社会的な影響

この雪崩事故は2017年3月、那須町のスキー場近くで発生し、高校生7人と教諭1人の尊い命が奪われるという痛ましい結果をもたらしました。捜査の結果、安全対策や気象条件の判断に過失があったとして、当時の指導的立場にあった教諭らが業務上過失致死傷罪で起訴されました。

一審判決では3人全員に禁錮2年の実刑が言い渡されましたが、被告側が控訴。今回の高裁判決は、その控訴審としての結論となります。判決は、教育現場における野外活動の安全管理の在り方や、指導者の責任範囲について、司法の厳しい見解を示すものとなりました。

遺族らは一貫して事故の全容解明と再発防止を求めており、判決後も「教訓を後世に伝える」との思いを強く語っています。この事故を契機に、全国の学校や山岳関係団体では、雪山での安全対策や指導体制の見直しが進められています。

今回の判決は、集団活動における責任の分散と個人の刑事責任の線引きという、難しい法的課題に一石を投じる内容となっています。今後の類似事故や裁判において、重要な判例として参照される可能性が高いでしょう。