154.6センチの女性巡査長が白バイ隊員に 身長基準撤廃で道開く
2026年3月16日、警視庁大森署に勤務する高橋南巡査長(27)は、かつては夢と諦めていた白バイ隊員としての任務に就いている。彼女の身長は154.6センチ。かつて女性が白バイ隊員になるには「身長160センチ以上」という基準が存在していたが、2024年1月にその基準が撤廃されたことで、道が開けたのだ。
2023年夏の衝撃的な出会い
転機は2023年の夏に訪れた。当時、大森署地域課員として勤務していた高橋巡査長は、東京都内の国道交差点で職務に当たっていた。その時、目の前で原付きバイクが2段階右折を無視する違反行為を目撃した。
「声をかけて止めようとしたが、乗っていた自転車では全く追いつけませんでした。無力感を覚えかけたその瞬間です」
サイレンを鳴らした白バイが突然現れ、違反バイクの後ろに瞬時に付いた。加速の速さ、違反を見逃さない隊員の鋭い観察力。同僚ながら、その姿に強く心を動かされたという。
「これが警察官としての『夢』だ」。警察官になって2年目、高橋巡査長はそう確信した瞬間だった。
身長基準撤廃がもたらした転機
しかし、当時の女性白バイ隊員採用基準には「身長160センチ以上」という条件があった。高橋巡査長の身長154.6センチでは、物理的に届かない壁だった。
状況が一変したのは2024年1月。警視庁が「体格に関わらず、志を持つ隊員を確保する」ことを目的に、女性隊員の身長基準を撤廃したのだ。これにより、高橋巡査長にも白バイ隊員への道が開かれた。
「白バイ隊員になる」。そう決意した高橋巡査長は、必要な訓練と審査を経て、2025年12月には正式に白バイ隊員としての任務に就くこととなった。
新たな時代の警察像
高橋南巡査長の事例は、警察組織の多様性推進と能力主義への転換を象徴している。従来の身体的基準に縛られず、志と能力を重視する採用方針は、より多くの人材が警察官として活躍する機会を広げている。
白バイ隊員としての任務は、高速走行技術だけでなく、交通違反の的確な発見と対応、地域住民とのコミュニケーションなど多岐にわたる。高橋巡査長は、自らの経験を活かし、特に自転車や原付きバイクの取り締まりにおいて、これまで以上に効果的な活動が期待されている。
警視庁関係者は「体格よりも技能とやる気を重視する方針は、組織全体の活性化につながっている」と語り、今後の人材育成に期待を寄せている。



