民生委員の欠員2万人超、地域福祉に深刻な影響…自治体が対策に着手
民生委員欠員2万人超、自治体が対策に着手

地域福祉を支えるボランティアである民生委員の欠員数が、昨年12月の一斉改選で初めて2万人を超え、2万91人に達したことが明らかになった。厚生労働省によると、定数24万971人に対し、欠員が続けば高齢者や支援が必要な住民への支援が行き届かなくなる恐れがある。解消には仕事をしながら活動する現役世代の委員増加が不可欠で、自治体も対策に乗り出している。

民生委員の現状と課題

民生委員は厚生労働相から委嘱される特別職の地方公務員で、任期は3年、再任可能。地域で支援が必要な人を訪問し、相談を受けながら情報提供や行政連絡を行うほか、災害時の緊急連絡網の構築も担う。活動費として年間約6万円が支給されるが、報酬はない。

大阪市住吉区で民生委員を務める小嶋憲子さん(73)は、4月下旬に一人暮らしの70歳代男性宅を訪問し、熱中症予防のチラシを手渡しながら「暑くなってきたので、こまめに水分をとって、エアコンも使って気をつけてくださいね」と声をかけた。男性は「10年以上来てもらっており、困り事を相談できて心強い」と語る。小嶋さんは1986年に民生委員になり、現在は担当する約50世帯を日常的に見守る。当初は仕事と子育てを両立しながら活動し、日中不在の世帯には幼い子どもを連れて夜に再訪することもあったという。

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欠員の背景

欠員が増加した背景には、定年延長などで働き続けるシニア層が増えたことや、負担の大きさから敬遠される傾向がある。選任時に原則75歳未満という年齢要件があるにもかかわらず、全委員の41%を70歳代が占めており、高齢の委員が支えている実情がある。厚労省幹部は「2028年の次期改選で多くの退任者が見込まれ、不足はさらに深刻化しかねない。地域で困った人に手が届かない恐れがある」と懸念する。

自治体の対策

現役世代の委員を増やすため、地域在住者だけでなく在勤者にも門戸を広げることが検討されたが、緊急時の対応への懸念から実現していない。その中で、委員による見守り活動を補佐する「協力員」制度が広がっている。引退した元委員のほか、委員に関心のある現役世代も協力員になる例が相次いでいる。民生委員の全国組織が2023年に実施した調査では、回答した約1300市区町村のうち協力員制度を導入した自治体は約2割に上った。

東京都は2026年度から、委員を雇用する企業に1人あたり10万円を支給する取り組みを開始。厚労省も業務のデジタル化を進める自治体に補助金を出し、現役世代の参画を促している。

専門家の指摘

文京学院大の中島修教授(地域福祉)は「制度の維持には現役世代の増加が不可欠だ。行政とともに地域社会を支える民生委員の魅力を若い世代にも伝えるため、小中高校や大学などの教育現場で活動を紹介する場を設けることが有用だ」と指摘する。

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