タバコのポイ捨て13万本を拾った88歳編集長「ぶんがくさん」の定点調査
タバコのポイ捨て13万本を拾った88歳編集長の定点調査

東京都世田谷区に住む渡辺文学さん(88)は、タバコ問題を専門に扱う国内唯一の新聞「禁煙ジャーナル」の編集長として知られています。彼は2019年1月から、最寄り駅である京王線芦花公園駅の周辺で、ポイ捨てされたタバコの吸い殻をほぼ毎日拾い続けています。その累計本数は約13万本に達し、環境汚染を訴える定点調査として注目されています。渡辺さんは「これはライフワークになった」と語り、街の美化にも貢献しています。

「新型モク拾い」の実態

渡辺さんはこの活動を「新型モク拾い」と名付けています。これは、他人が捨てた吸い殻を再利用していた昭和時代の「モク拾い」とは全く逆の目的を持っています。14日の朝、彼は芦花公園駅周辺で車道や歩道を見回り、トングで吸い殻を拾い集めました。この日は1時間強で95本の吸い殻を回収し、そのうち32本は両端に焦げのない加熱式タバコでした。渡辺さんによると、加熱式タバコの割合は以前は1割程度でしたが、近年では3〜4割に増加しています。

渡辺さんは「形が変わってもポイ捨ては変わらない。メーカーや販売業者は、自社製品が毎日ポイ捨てされていることに罪悪感を持ち、一種のデポジット制度で吸い殻の買い取りを検討すべきだ」と訴えています。彼は「街をきれいにしたい。路上も空気も」と語り、活動への強い思いを示しています。

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タバコのポイ捨てがもたらす環境への影響

世界保健機関(WHO)は、タバコを「地球上で最もポイ捨てされている商品」と指摘しています。吸い殻は路上や公園に捨てられ、雨や排水で川や海に流れ込みます。フィルターに含まれるニコチンや重金属などの有害物質は、イルカや水鳥などの野生生物が餌と間違えて摂取する事例が報告されています。さらに、プラスチックによる海洋汚染が問題視される中、フィルター由来のマイクロプラスチック汚染も深刻です。

最新の研究結果

今年3月、イタリアのフェデリコ2世ナポリ大学が発表した研究論文によると、吸い殻の毒性を10年間追跡調査した結果、捨てられた直後から有害物質が環境中に溶け出し、約5年後にはフィルターのプラスチック繊維が崩壊し始め、内部に閉じ込められていた有害物質が放出されることが明らかになりました。科学ジャーナリストの石田雅彦さん(67)は、この論文に詳しく、渡辺さんの活動を評価する一方で、「街の美化活動で子どもが素手で吸い殻を触っている場面を見たことがあり、心配だ」と述べています。

加熱式タバコの新たなリスク

渡辺さんが拾う吸い殻の3〜4割は加熱式タバコですが、有害物質を含む点では従来の紙巻きタバコと変わりません。国民生活センターは、乳幼児による加熱式タバコの誤飲に繰り返し注意を呼びかけています。加熱式タバコの中には金属片を内蔵したタイプもあり、誤飲によって喉や消化器官を傷つける恐れがあります。

渡辺文学さんは、88歳の高齢ながら、スクワットやダンベル運動を毎日続けるスリムな体で、軽快な動きを見せています。昨年11月には不整脈が見つかりペースメーカーを装着する手術を受け、吸い殻拾いを6日間休みましたが、雨天以外はほぼ毎日活動を続け、実施率は約85%に達します。彼の活動は、タバコ問題に対する社会の意識を高める重要な取り組みとして、多くの人々に影響を与えています。

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