御殿場と大船渡の絆、サンマの香りで続く復興支援イベントが10年目に
静岡県御殿場市では、東日本大震災の被災地である岩手県大船渡市との絆を深める特別なイベントが、今年で10年目を迎えました。この取り組みは、復興支援のために派遣された御殿場市職員と被災地の人々との出会いから始まり、今では秋の風物詩として地域に根付いています。
無料で振る舞われる大船渡産サンマ1000匹
御殿場市では10年前から、大船渡市で水揚げされた新鮮なサンマを無料で提供するイベントを継続しています。昨年10月に富士山樹空の森で開催された「大秋祭」では、炭火で焼かれるサンマの香ばしい香りが会場に漂い、多くの来場者で賑わいました。
「熱いので気をつけて食べてくださいね」と声をかけながら、大船渡市から駆けつけた人々がサンマを焼き、無料で振る舞いました。自慢の1000匹はあっという間に完売し、会場は温かい交流の場となりました。
震災の傷跡と復興への歩み
大船渡市は沿岸部に位置し、東日本大震災では11メートル以上の津波に襲われました。住民340人が死亡し、現在も79人の行方が分かっていません(2023年3月末現在)。震災から5年が経過した時点でも、がれきが撤去された土地や窓ガラスが割れたままの建物が目立ち、復興の道のりは長いものでした。
派遣職員が築いた絆
このイベントのきっかけとなったのは、御殿場市職員の勝間田和輝さん(41)です。2016年春から1年間、大船渡市に派遣された勝間田さんは、被災者と同じ仮設住宅で暮らしながら復興業務に従事しました。
当初は東北の方言が理解できず苦労しましたが、同じ部署で働く迎山光さん(51)の支えで次第に地域に溶け込んでいきました。津波で家族を失った職員もいる中で、前向きに働く同僚たちの姿に心を打たれ、「何かしたい」という思いを強くしました。
両市の協力で実現したイベント
業務報告で御殿場市に戻った勝間田さんは、上司から「大船渡と何か一緒にできないか」と声をかけられました。大船渡市に戻り迎山さんと相談した結果、サンマを振る舞うイベントが提案されました。
大船渡市は日本有数のサンマの水揚げ量を誇り、迎山さんは消防団やまちづくり団体の仲間と各地でサンマを配る経験がありました。すぐに準備が進められ、同年10月に「大船渡海産物フェア」として第1回イベントが開催されました。
10年目を迎える継続的な支援
イベントは大きな反響を呼び、コロナ禍で中止になった年もありましたが、大船渡市や関東圏に住む同市出身者の協力も得て、今年で10年目を迎えました。
勝間田さんは「当初から来てくれている大船渡の人々のおかげで関係性が深まった」と振り返り、「イベントを通して大船渡市を知ってもらいたい」と語ります。迎山さんも「地元だけでは復興はできなかった。声がかかる限り参加し、少しでも御殿場に恩を返したい」と感謝の思いを述べています。
御殿場市と大船渡市を結ぶこの取り組みは、単なる支援を超え、人と人との絆によって育まれた持続可能な交流モデルとして、これからも続いていくことでしょう。



