京都府京田辺市立田辺中学校が、フード付きパーカーを新たな制服として採用することを決定した。1947年の開校以来、男子は詰め襟の学生服、女子はセーラー服が伝統だったが、性の多様性に配慮し、性別を問わず着用できる第3の選択肢として11月から導入する。公立中学では珍しい取り組みで、教員も生徒も「来年迎える創立80周年の目玉に」と期待を寄せている。
性別にとらわれない制服へのニーズ
田辺中2年の女子生徒(14)は「セーラー服もスカートも嫌い」と話し、昨年の入学式以来、伝統的な女子制服を着ていない。学校からは学ラン(男子用の詰め襟学生服)の着用を認められているが、周囲の目が気になるため、一年中カッターシャツと、2020年から女子用に導入された紺のスラックスで過ごしてきた。「冬は寒かった。パーカーは着やすくて快適。ありがたい」と喜びを語る。
近年の「ジェンダーレス制服」では、男女兼用やデザインの性差が小さいブレザーが全国的に主流となっている。田辺中では2024年度からブレザー、スーツ、現在の制服を並べて校内に展示し、生徒にアンケートを実施。その結果、現状維持を望む回答が3年連続で50%台と最も多かった。生徒会長(15)は「市内でも他の中学はブレザー。だから、田辺中らしさが表れる今の方がいいと思う人が多いのかも」と分析する。
パーカー制服の特徴と選ばれた理由
学校は2025年6月から教諭による検討委員会で新しい制服を模索。その中で「パーカーはどうか」という声が上がった。私立高校で採用された例があり、「部活で着る服みたいでかっこいい」と、委員の横井秀平教諭(36)は賛同した。
パーカー制服はサイズに関係なく約9000円と、現在の上着の半分弱の価格。全校生徒1018人の約7割が自転車で通学しており、少々の雨ならカッパを着なくてもフードでしのげる。素材はポリエステルで、洗濯後や汗も乾きやすい。価格と実用性が決め手となった。製作を担当する大阪府東大阪市のメーカーによると、公立中学がパーカーを正規の制服にするのは珍しいという。
フォーマル性と生徒参加のデザイン
生地の色は、生徒の意見を取り入れてグレーにした。学校の式典や冠婚葬祭でも着用できるよう、フォーマルさを出すために胸にエンブレムを付けることとし、デザインを全校から募集。2026年3月に行われた投票で、当時の3年生の作品が選ばれた。黒地に赤い縁取り、王冠などの黄色い模様と、「田辺」の英字から取った「TNB」の白い文字を創立年とともにあしらっている。
秋から春にかけ、大半の生徒はカッターシャツの上にパーカーを着ると学校は想定。学生服やセーラー服は今後、購入しなくても、パーカーと重ね着してもよい。家村隆宏校長は「歴史を受け継ぎつつ、新たな伝統を生み出せる」と語る。
購入を希望する生徒は6月下旬に試着し、発注。10月中には学校に届く予定だ。生徒会長は「そもそもパーカーの制服があるなんて知らなかった。今の時代に合っていると思う」と満足そうに話した。



