赤穂市民病院医療過誤事件で元執刀医に有罪判決
兵庫県の赤穂市民病院で発生した医療過誤事件をめぐる異例の刑事裁判で、神戸地裁姫路支部は3月12日、業務上過失傷害罪に問われた元執刀医の松井宏樹被告(47)に対して禁錮1年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。この判決は、医療事故が刑事事件として審理され有罪となった極めてまれなケースとして注目を集めています。
患者親族「平然とうそを並べ立てる態度に絶望」
判決後、被害者である女性(当時81歳)の親族の代理人を務める若宮隆幸弁護士が姫路市内で記者会見を開き、親族のコメントを発表しました。若宮弁護士は「公判で反省する松井医師の姿を期待したが、他責的な発言や自己弁護を繰り返し、平然とうそを並べ立てる態度に絶望した」との親族の憤りの声を読み上げました。
この事件は2020年、赤穂市民病院で松井被告が執刀した手術により、患者の女性が重い障害を負ったことが発端です。同病院によれば、松井被告が2019年から2020年にかけて関わった手術では、合計8件の医療事故が発生していたことが明らかになっています。
公判では患者の苦痛を伝える動画も
裁判では、両足まひの障害を負い車いす生活を余儀なくされた女性が「夜中に急に激痛がある。怖くて眠れない。悔しい」などと語る動画が証拠として提示されました。被害者参加制度を利用して女性の親族も公判に参加し、直接被害の実態を訴えました。
松井被告は今年2月9日の初公判で起訴事実を認め、同月12日の被告人質問では親族に対して謝罪の意を表明。「結果的に手術の技量がなかった」と述べた一方で、弁護側は「被告だけに責任を押しつけるべきではない」と主張していました。
専門家「医療事故の刑事事件は非常にまれ」
若宮弁護士は記者会見で「医療事故の刑事事件は少なく、有罪判決は非常にまれです。結果の重大性を鑑みると適正な判決だと考えます」と評価しました。この見解は、医療過誤が民事訴訟を中心に処理されることが多い中、刑事責任が問われたことの意義を強調するものです。
赤穂市の牟礼正稔市長は「厳粛に受け止めている。再発防止に取り組み、信頼回復に努める」とのコメントを発表し、市としても事態を重く受け止めている姿勢を示しました。
この判決は、医療現場における安全対策と医師の責任の在り方について、改めて社会全体で考えるきっかけを提供することになりそうです。患者と医療従事者との信頼関係の構築が、今後いっそう重要となることが示唆されています。



