小児医療センターで抗がん剤誤投与か、髄液から禁止薬剤検出で3人に神経症状
小児医療センターで抗がん剤誤投与か、髄液から禁止薬剤検出

埼玉県立小児医療センターで抗がん剤誤投与の疑い、髄液から禁止薬剤が検出

埼玉県立小児医療センター(さいたま市中央区)は、白血病患者3人に対する抗がん剤治療を巡り、深刻な事案を公表した。いずれも髄腔内注射を受けた後に神経症状が発症し、うち1人は死亡した。同センターは、この事案について事件と事故の両面の可能性があると説明しており、警察への報告も行っている。

髄液から血管内投与用の禁止薬剤「ビンクリスチン」が検出

髄腔内注射は、白血病細胞が脳や脊髄系へ広がるのを防ぐための一般的な治療法だ。同センターでは、2024年に延べ512人、2025年11月に注射を中止するまでに延べ427人がこの治療を受けた。しかし、神経症状が出た3人の髄液からは、血管内に投与する抗がん剤「ビンクリスチン」が検出された。

ビンクリスチンは神経障害を起こしやすく、髄腔内注射での使用は禁止されている薬剤である。調査対策委員会は、この薬剤が神経症状の原因である可能性が高いと指摘している。委員会は医師や外部有識者で構成され、調剤から注射までの経過を詳細に調査したが、現時点では明らかな落ち度は確認されていないという。

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注射中止が遅れた背景とセンターの対応

同センターは、3例目が発生するまで注射を中止しなかった理由について、以下のように説明している。

  • 1例目と2例目では神経症状に違いがあり、同じ原因とは考えなかった。
  • 3例目が発生し、1年間に3回もまれな合併症が起きたことで異常を感じた。

岡明病院長は記者会見で、「センターを信頼して治療された患者様、ご家族に本当に申し訳ない」と陳謝した。さらに、「髄液から検出されるべきではない薬液が検出されたことは、病院として深刻に受け止めている」と述べ、事態の重大性を強調した。

厳重な管理体制と調査の進展

同センターでは、抗がん剤の調剤に携わる薬剤師は5、6人で、ビンクリスチンは劇薬として厳重に保管されていた。調剤スペースへの入室にはセキュリティカードによる3回のロック解除が必要など、高度な管理体制が敷かれていた。調査対策委員会の中沢温子委員長は、記録調査の結果、「落ち度はなかった」と暫定的に結論付けたが、原因究明は継続中だ。

同センターは316床を有し、医師186人、看護師約580人が在籍する小児専門病院として、新生児への高度医療や一般医療機関では対応できない子どもの診療を行っている。今回の事案は、こうした専門医療機関における安全管理の在り方にも疑問を投げかける形となった。

現在、大宮署に事案の概要が報告されており、今後の調査結果が注目される。患者と家族への影響は大きく、医療現場の信頼回復が急務となっている。

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