藤沢市民病院、2歳児死亡訴訟で和解 異変40分放置の医療ミス謝罪
藤沢市民病院、2歳児死亡訴訟で和解 異変放置謝罪 (02.03.2026)

藤沢市民病院、2歳児死亡訴訟で和解成立 異変40分放置の医療ミスを謝罪

神奈川県の藤沢市民病院において、2020年に熱性けいれんで入院した2歳男児が死亡した医療訴訟が、2026年3月2日に和解が成立した。病院側は、患児の異変を約40分間放置した医療ミスについて謝罪し、和解金300万円を支払う内容で合意に至った。ただし、放置行為と死亡との因果関係に関する認定は、和解条項には含まれていない。

訴訟の経緯と和解内容

この訴訟は、当時2歳だった新井風太君が、熱性けいれんにより藤沢市民病院に入院した後、容体が急変して死亡したことを受けて、両親が藤沢市に対して約8800万円の損害賠償を求めて横浜地方裁判所に提訴していたものだ。和解条項によれば、病院側は心拍数や酸素飽和度の低下に対して適切な対応が遅れたこと、さらに管理体制が不十分であったことを認め、公式に謝罪した。また、今後は再発防止策を策定することを約束している。

風太君は2020年9月に熱性けいれんを発症し、救急搬送されて同病院に入院した。その後、3日朝に容体が急変し、5日後に亡くなった。原告側の主張によると、担当看護師は、患児の異変を検知すると警告音が鳴る仕組みのPHSを携帯しておらず、そのため異変に気付くことができなかった。さらに、他の看護師たちは担当者が対応しているものと考えて、適切な行動を取らなかったとされている。

死因をめぐる主張の相違

原告側は、異変の放置によって低酸素脳症が発生し、これが死因となったと主張している。一方、病院側は、極めて特殊な急性脳症が原因であり、たとえ担当看護師が警告音に気付いていたとしても、死亡を避けることはできなかったと説明したという。このような主張の相違があったものの、訴訟は和解によって決着を見た。

両親の思いと今後の展望

和解成立後、横浜市内で会見を開いた風太君の両親は、複雑な心境を語った。父親(46)は、「病院側の説明が二転三転し、専門知識のない私たち原告側が全面的に覆さなければならない理不尽さを感じた」と振り返り、「せめて風太の死を重く受け止めてほしい」と訴えた。

母親(44)は、「無念は晴れてはいないが、一区切りがついた。これからは風太の死ではなく、楽しかった思い出のほうに目を向けて生きていけるかなと思う」と話し、前向きな姿勢を示した。病院側は、「和解については把握しているが、詳細は患者の個人情報に当たるため差し控える」とコメントしている。

この事件は、医療現場における管理体制の重要性と、迅速な対応の必要性を改めて浮き彫りにした。藤沢市民病院は、再発防止策の作成を通じて、同様の悲劇が繰り返されないよう尽力することが期待される。