壱岐島沖ヘリ事故から1年、厚労省が医療従事者の水中脱出訓練費用を補助へ
医療ヘリ事故1年、水中脱出訓練費用を補助 (07.04.2026)

壱岐島沖の医療ヘリ事故から1年、厚労省が訓練費用補助を開始

長崎県・壱岐島沖で昨年4月に発生した医療搬送用ヘリコプターの不時着水事故を受け、厚生労働省は医療従事者が水中脱出訓練を受講する際の費用補助制度を新たに設けることを決定しました。この事故では、福岡和白病院の医師ら3人が死亡し、安全対策の強化が急務となっていました。

事故の概要と教訓

事故は1年前の昨年4月6日、対馬空港を出発したヘリが福岡和白病院に向かう途中、海上で不時着水し転覆したものです。機長や看護師ら3人は脱出に成功しましたが、患者と医師ら3人が犠牲となりました。同病院側は、緊急時を想定した実践的な訓練の実施を事故の重要な教訓として挙げており、これが今回の補助制度創設の背景となっています。

訓練需要の高まりと現状

医療機関では水中脱出訓練の必要性が認識されながらも、国の補助がなく、費用面の課題から受講が十分に進んでいませんでした。しかし、事故後、訓練への関心は大きく高まっています。国内唯一の民間訓練施設である日本サバイバルトレーニングセンター(北九州市)によると、2025年度の受講者数は前年度比で1.5倍以上に増加し、ドクターヘリを備える病院からの申し込みが特に目立っています。

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同センターは水産大手ニッスイの子会社が運営しており、受講費は1人あたり約7万から9万円です。これまで毎年約150人が受講してきましたが、事故を契機に安全対策への意識が変化しています。

厚労省の新たな支援策

こうした動きを踏まえ、厚生労働省は訓練受講費用の補助制度を創設するほか、緊急時に機体から脱出する時間を確保するためのフロート(浮き)の購入費も補助する方針です。これらの施策は、ドクターヘリの安全運航を支援する目的で、2026年度当初予算案に関連経費が盛り込まれています。厚労省は「必要な救急医療が提供できる体制を構築したい」と述べ、医療従事者の安全確保に力を入れていく考えを示しました。

専門家や遺族の声

日本航空医療学会の猪口貞樹理事長は、「今後、航空搬送は高齢化社会のインフラ(社会基盤)として重要性を増す。搭乗者の不安を解消するため、国は安全対策への支援をさらに拡充する必要がある」と指摘しています。

一方、事故から1年を前に、患者の姉と付き添いのおいを失った長崎県対馬市の永尾一心さん(80)は、市内で営まれた一周忌の法要に参列し、「人を恨んでも何ともならない。離島にとって、ヘリは命綱だ。事故がないように整備し、安全に運航してもらいたい」と語りました。遺族の切実な願いが、今回の対策強化を後押しする形となっています。

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