飯塚事件再審決定へ 死刑執行後の初のケースか 新証言の信憑性が焦点
飯塚事件再審決定へ 死刑執行後の初ケースか

飯塚事件の再審可否を16日に決定 死刑執行後初のケースとなる可能性

福岡県飯塚市で1992年に発生した女児2人殺害事件、通称「飯塚事件」をめぐり、福岡高等裁判所(溝国禎久裁判長)が2月16日、殺人罪などで有罪が確定し死刑が執行された久間三千年・元死刑囚(執行時70歳)の裁判のやり直しを認めるかどうかの決定を下します。

再審が認められれば、死刑執行後に再審が開始されるのはわが国で初めてのケースとなります。この歴史的な判断を前に、事件の詳細と新証言の内容について改めて検証します。

事件の概要と確定判決の根拠

確定判決によると、元死刑囚は1992年2月、当時小学1年生だった女児2人をワゴン車に乗せ、首を絞めて殺害し山中に遺棄したとされています。直接的な物的証拠は存在せず、裁判では複数の間接証拠が有罪の根拠とされました。

  • 現場周辺で元死刑囚の車とよく似た車両を目撃したという証言
  • 元死刑囚の車内から検出された、被害女児と同じ血液型の血痕
  • 女児の衣服に付着した繊維が、元死刑囚の車の座席シートと高い一致可能性を示したこと

元死刑囚は一貫して無罪を主張しましたが、2006年に最高裁判所で死刑が確定。その2年後に刑が執行されました。現在進行中の再審請求は2回目で、2021年7月に元死刑囚の妻が申し立てたものです。

第2次再審請求で提出された新証言

弁護団は第2次再審請求において、2つの新たな目撃証言を重要な証拠として提出しています。

第一の証言は、事件当日の午前8時半頃に飯塚市内の三差路付近で女児2人を見かけたと当初証言していた女性によるものです。この証言は犯行時間の特定に重要な役割を果たしました。

しかし、この女性は2018年頃に弁護団に対し、「女児2人を見たのは事件当日より前の日だった。警察の尋問で誘導されたような形で証言させられた」と述べ、証言内容を変更しています。

第二の証言は、事件当日に小学生2人を乗せた白い車を運転する坊主頭の男性を見たという男性によるものです。この男性は事件発生当初から警察に目撃情報を提供していましたが、当時は十分に取り合ってもらえなかったと主張しています。注目すべきは、元死刑囚の車両が紺色であったのに対し、この目撃証言では車両の色が白色とされている点です。

地裁の判断と高裁への期待

これら新証言をめぐり、地方裁判所はすでに再審請求を棄却する判断を示しています。しかし、弁護団はこれらの証言が事件の真相解明に不可欠であると主張し、高等裁判所による再審開始決定を強く求めています。

16日の福岡高等裁判所の決定は、死刑制度と再審制度の在り方に大きな影響を与える可能性があります。特に、死刑執行後に新証拠が発見された場合の司法手続きのあり方について、重要な先例を形成することになるでしょう。

事件から30年以上が経過した今も、被害女児2人の無念と遺族の悲しみは消えることはありません。司法が真実をどこまで解明できるのか、その判断が注目されています。