高市早苗首相が憲法改正に意欲を示す中、改憲や戦争に反対する市民がプラカードを掲げ、交流サイト(SNS)に投稿する「#山手線一斉スタンディング」が大型連休中、東京都内各地で行われている。きっかけは、都内に住む20代女性のSNSでの発信だった。この動きは全国に広がり、6日まで実施される予定だ。
「団地のネコ」さんの呼び掛け
「#山手線一斉スタンディング」の呼びかけ人は、都内在住の社会人学生で「団地のネコ」の名で活動する26歳の女性だ。5日にはJR新宿駅前で、英語や中国語で書かれた戦争抗議メッセージを掲げた。彼女は長崎で被爆した祖母から平和や憲法の重要性を聞いて育ち、米国とイスラエルによるイラン攻撃で世界情勢に危機感を抱き、今春から反戦デモに参加するようになった。
しかし、デモを報じるニュースで参加者が「市民団体」と一くくりにされることに違和感を覚えた。「参加した個人の思いや背景は人それぞれなのに」と感じたという。
一人のスタンディングから全国へ
4月6日、トランプ米大統領が「イランの発電所に攻撃を仕掛ける」と警告したニュースを見て、彼女は段ボールに原爆のきのこ雲の絵と「One country was ENOUGH. NEVER again」と書き、翌7日に職場の最寄り駅で30分間掲げた。最初は不安だったが、X(旧ツイッター)に投稿すると「立派です」「勇気をもらいました」と多くの共感が寄せられた。
4月16日には山手線全30駅を乗り継ぎ、各駅で平和や人権のメッセージを掲げる「山手線一周一人スタンディング」を実施。JR駒込駅では中年女性が「戦争は人災」のメッセージを見つめ、無言で親指を立ててくれたという。
全国各地に波及
スタンディングの投稿は山手線にとどまらず、関西の有志が「大阪環状線一斉スタンディング」を宣言。JR中央線や名古屋市営地下鉄名城線にも広がった。都内の会社員海野サリーさん(29)は「平和憲法を守らなければならない。草の根から広げたい」と語る。
「団地のネコ」さんは「誰でも思い立った時にできるのがスタンディング。賛同が広がっていることに励まされる」と話し、「なし崩し的に改憲の流れになることは避けたい。一人一人の意識を変えたい」と力を込めた。



