大田区議、政活費不正受給の実態
東京都大田区議会の公明党所属の松本洋之元区議(67)が、架空経費で政務活動費(政活費)を不正に受給していた問題で、東京新聞は松本氏が公金を着服するために作成していた「区政リポート」を入手しました。このリポートは有権者向けに配布する名目で制作されていましたが、実際には制作費を水増しし、郵送したと装って切手を購入し換金するという古典的で悪質な手口が明らかになりました。
リポートの内容と不正の手口
東京新聞が入手したリポートは「松本ひろゆき通信」と題され、昨年1月に発行されたとみられます。内容は区議会の開会や経済対策の要望書提出など、ごく簡単なものでした。区議会の党会派によると、松本氏は年4回、1回に2500部のリポートを作成し、そのうち1500部を郵送したとして、制作費や切手代などを政活費として申請していました。しかし実際には1回約100部しか作成しておらず、郵送も行っていなかったといいます。制作業者に高額の領収書を書かせ、年間6000枚もの切手を購入して換金していました。
不正の規模と背景
この手口で、松本氏は2020年度から2025年度にかけて計約680万円の政活費を不正に受給しました。松本氏は不正受給分を全額返金する意向を示していますが、2019年度以前については記録がなく「よく覚えていない」と話しています。切手購入の転売疑惑は以前から党内で問題視されていましたが、会派の団長を務める7期目の重鎮が問題を軽視し、党都本部が調査に入るまで露見しませんでした。会見で岡元由美区議は「一番の問題は、会派で最年長の団長の主張を周囲が覆せなかったこと」と悔しさを述べました。
政活費制度の課題
地方議員の政活費をめぐっては、2014年に兵庫県議の不正受給が発覚して以降、社会問題化し、各地で対策が進みました。例えば水戸市議会では、政活費での切手購入を原則認めず、文書は郵便局から送り、申請時に領収書を添付するルールを導入しました。しかし大田区議会では、切手購入がガイドラインで認められ、申請時に自作の帳簿を添付するだけで、リポートの提出はあっても配布先の証明は不要です。このため、松本氏のリポートは不正受給の隠れみのとなっていました。
専門家の指摘
全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は、不正防止策として「後払い」方式を提案します。これは議員が実際に支出した費用を精査してから政活費を支給する方法です。しかし「どれだけルールを作っても、不正をする議員は穴を突いてくる」と指摘し、議員自身の意識改革の必要性を強調しました。



