小泉進次郎防衛相は5日、訪問先のフィリピン・マニラで、テオドロ国防相と会談し、退役させる海上自衛隊の「あぶくま」型護衛艦の輸出に向けて協議に入ることを決定した。高市内閣が4月に殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁した後、中古護衛艦のフィリピンへの輸出が実現すれば、第1号案件となる可能性がある。
武器輸出全面解禁の背景
政府は4月、武器輸出を規制する防衛装備移転三原則と運用指針を改定。輸出の目的を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限っていた「5類型」を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁した。小泉氏は会談で、運用指針などの改定について「地域と世界の平和と安定に対する日本の貢献をさらに強化するものだ」と説明。テオドロ氏は支持と期待を示したという。
あぶくま型護衛艦の現状
対艦ミサイルなどを備える海上自衛隊のあぶくま型護衛艦は、就役から30年以上が経過し、防衛省は全6艦を順次退役させる方針だ。フィリピンはかねて、あぶくま型護衛艦の取得に期待を示しており、水面下で協議が行われていた。
護衛艦などの輸出に向け、防衛当局の政策、運用、装備部門を含む作業部会の設置を決定。今後、具体的な調整を進める。装備についての教育訓練、維持・整備の支援など、包括的な装備協力を実現するための議論を行うという。
安全保障協力の強化
日本とフィリピンは、南シナ海や東シナ海で海洋進出を強める中国を念頭に、安全保障協力の強化を図ってきた。日本としては、中古護衛艦の輸出を通じて、フィリピンの海軍力の向上につなげたい考えだ。
法改正の必要性
フィリピン側は無償や安価での譲渡を希望するとみられ、その場合、自衛隊法の改正が必要になる。自衛隊法116条の3では、自衛隊の不用品を途上国に対して無償または安く譲渡できるとしているが、対象から護衛艦などの武器は除かれている。殺傷能力のある武器を無償や安価で譲渡するには、法改正が必要になる。複数の政府関係者によると、政府は来年の通常国会での法改正を目指す方針だ。



