高知県がカスタマーハラスメント対応基本方針を策定、職員の3割が経験
高知県は、来庁者や利用者から職員が暴言や過度な要求を受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応基本方針を策定しました。県が実施した調査によると、全職員の約3割がカスハラを経験したことがあると回答しており、深刻な職場環境の問題が浮き彫りとなっています。
カスハラの具体的な判断基準を明確化
基本方針では、カスタマーハラスメントの判断基準として、「言動の内容に妥当性はあるか」と「手段・態様が社会通念上相当な範囲か」の2点を明示しています。
妥当性がない言動の具体例としては、以下のようなケースを挙げています:
- 事実や根拠、因果関係がない主張
- 県行政に関係のない要求
- 過大な補償や謝罪など過剰な要求
- 差別的な言動
- 性的な言動
社会通念上不相当な手段・態様としては、次のような例を示しています:
- 威圧的な言動
- 脅迫や中傷、名誉毀損など精神的な攻撃
- 暴行や傷害といった身体的な攻撃
- 不退去、居座り、監禁といった拘束的な行動
組織的・毅然・法的の三原則を掲げる
カスハラに該当すると判断した場合の対応原則として、以下の三つを明確に掲げました:
「組織的」:複数名で対処するなど、組織として対応する姿勢
「毅然と」:発言内容を録音したり、警告を発するなど、明確な態度で対応
「法的」:警察への通報や弁護士への相談など、法的措置も視野に入れた対応
具体的なマニュアル作成と研修実施
高知県は、職員が実際の対応の流れを理解できるよう、具体的な事例を盛り込んだマニュアルを作成しました。さらに、2026年度には全職員を対象とした研修も実施する予定です。
この取り組みは、昨年6月にカスタマーハラスメント防止策の実施を事業主に義務づける改正労働施策総合推進法が成立したことを受けたものです。同法の施行により、行政機関を含む事業主には、職員をカスハラから保護するための具体的な対策が求められています。
県の姿勢:丁寧な対応と職員保護の両立
県行政管理課は、「県民からの意見や要望は業務改善につなげるためにも丁寧な対応が必要ですが、カスハラに該当する事案により、職員の健康悪化の恐れもあります。適切な行政サービス提供につなげるためにも的確に対応できるようにしたい」と述べています。
この基本方針の策定は、職員のメンタルヘルス保護と、質の高い行政サービスの維持を両立させるための重要な一歩と言えます。高知県は今後、マニュアルの活用と研修の実施を通じて、職員が安心して業務に従事できる環境整備を進めていく方針です。



