鼻ぺちゃ猫の麻酔処置に注意喚起 国際共同研究がリスクを解明
ペルシャやエキゾチックショートヘアなどの「鼻ぺちゃ」と呼ばれる猫種は、麻酔処置による絶命リスクが他の猫種と比較して2倍以上高いことが、国際的な共同研究によって明らかになった。スペイン、アルゼンチン、チリ、オーストラリアの研究者らが参加したこの調査は、21カ国の198施設において、合計1万4964匹の猫を対象に実施された大規模な統計解析である。
麻酔による猫の死亡率と鼻ぺちゃ猫種の特異性
猫が麻酔によって命を落とす割合については、これまでの先行研究で1万匹あたり11匹から63匹と幅があるものの、人間の死亡率(10万人に1人以下)と比べて高いことが知られていた。研究チームは、この麻酔関連死を減少させるために原因分析が必要だと考え、詳細な調査に乗り出した。
その結果、健康な猫に対する去勢や不妊手術時の麻酔による絶命率は0.07%と低かった一方で、外傷や病気の手術時には、猫の状態が悪化するほど死亡率が上昇する傾向が確認された。このパターンは、過去に犬を対象とした研究でも同様に報告されている。
猫種別のリスク差が顕著に
猫種ごとの分析では、特に鼻ぺちゃ猫種において顕著なリスクの高さが浮き彫りになった。雑種猫の麻酔絶命率は0.65%で、過去の研究結果とおおむね一致していた。しかし、ペルシャ猫では1.67%と猫種別で最も高く、統計学的に有意な差が認められた。
健康状態など猫種以外の要因を調整して解析したところ、ペルシャ猫は他の猫種に比べて麻酔による絶命リスクが2.2倍高いことが判明した。同様に鼻ぺちゃの特徴を持つエキゾチックショートヘアやヒマラヤンも、比較的高いリスクを示す傾向があった。
研究チームは、鼻ぺちゃ猫種では呼吸器系の構造的特徴が麻酔管理に影響を与える可能性があると指摘している。短頭種として知られるこれらの猫は、気道が狭いなどの解剖学的特性から、麻酔中の呼吸管理に特別な注意が必要となるケースが多い。
獣医療現場への提言と今後の課題
この研究成果は、獣医療現場において鼻ぺちゃ猫種に対する麻酔処置の際に、より慎重な管理とモニタリングが求められることを示唆している。麻酔前の徹底した健康評価や、麻酔薬の選択・投与量の調整、術中の呼吸状態の綿密な観察など、リスク軽減に向けた対策が重要となる。
国際共同研究チームは、猫の麻酔安全性向上に向けて、さらなる研究とデータ収集の必要性を強調している。特に鼻ぺちゃ猫種については、品種特有の生理学的特性を考慮した麻酔プロトコルの確立が急務であると述べている。
今回の調査は、獣医療における麻酔リスク管理の重要性を再認識させるものとなった。飼い主や獣医師は、鼻ぺちゃ猫の麻酔処置に際して、この研究成果を参考にした適切な対応が求められるだろう。