NPT再検討会議への対応、高市首相は出席せず外務副大臣を派遣へ
政府は、27日から米ニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議に、高市早苗首相の出席を見送り、代わりに国光文乃外務副大臣を派遣する方向で調整に入った。複数の政府関係者が明らかにした。2022年の前回会議では、岸田文雄首相(当時)が日本の首相として初めて出席したが、今回は首相レベルでの参加は見送られる見通しだ。
核不拡散条約の運用状況を検討する重要な会議
NPT再検討会議は、核不拡散条約の運用状況を検討するために、通常は5年に1度開催される閣僚級の会議である。2022年には、被爆地の広島選出で「核兵器なき世界」を強く訴える岸田氏が自ら出席し、国際的な注目を集めた。また、昨年4月の準備委員会には、岩屋毅外相(当時)が日本の外相として2018年以来の出席を果たしている。
しかし、現在の国際情勢は大きく変化している。核兵器をめぐっては、米ロ間の核軍縮の枠組みである「新戦略兵器削減条約(新START)」が2月に失効し、3月にはフランスが核戦力を増強する方針を発表するなど、核抑止論が高まる傾向にある。米ロ英仏中の5カ国を核保有国と認め、誠実な軍縮交渉の義務を負わせたNPT体制も、岐路に立たされている状況だ。
政府関係者は「情勢の一変」を指摘
政府関係者は、「2022年とは情勢が一変している。核抑止論が高まるなか、日本が果たせる役割も限られている」と話す。この発言は、高市首相の出席見送りが、単なるスケジュール上の問題ではなく、核軍縮をめぐる複雑な国際環境を反映した判断であることを示唆している。
高市首相自身も、就任前には核軍縮に関する議論に積極的に関与していたが、今回はより慎重な対応を選択した形だ。政府は、外務副大臣の派遣を通じて、日本としての立場を表明しつつ、国際的な協調を図る方針とみられる。
この決定は、日本の外交戦略における核不拡散への取り組みが、現実的な情勢認識に基づいて調整されていることを浮き彫りにしている。今後の会議での議論や、日本政府の具体的な提案が注目される。



