原油価格抑制の要請と現行法の壁
高騰する原油価格を抑制するための同盟国の要請とはいえ、現行法に抵触しかねない内容には応じられない。政府には毅然とした対応を求めたい。
ホルムズ海峡の安全確保が国際的懸案に
イラン情勢の悪化に伴い、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全確保が、国際社会の重大な懸案事項となっている。同海峡にはイランが機雷を敷設した可能性が高く、事実上封鎖された状態だ。
トランプ米大統領は、日本や韓国、北大西洋条約機構加盟国など7カ国程度に、海峡を航行するタンカーを護衛する艦船や、敷設された可能性がある機雷を除去する掃海艇などの派遣を要求していた。しかし各国が派遣に難色を示したため、トランプ氏は交流サイトで各国の支援について「もはや必要ない」と表明し、強い不満を示した。
政府の対応と法的課題
高市早苗首相は、艦船派遣について米側から正式に求められていないとしてきた。参加検討を求められた場合の対応は「各省庁で真剣に議論している。その中で最適な判断を行う」と語っている。
首相はきょうトランプ氏と会談する。首脳会談の場でトランプ氏が表明を撤回し、自衛隊派遣を直談判してくる可能性は否定できない。国会などでの議論を経ないまま、派遣に応じることはあり得ない。首相は法的根拠などを示し、トランプ氏を納得させるべきだ。
国際法と同盟国の立場
イランへの先制攻撃について、日本政府は法的評価を避けているものの、国際法に反しているのは明白だ。ドイツのメルツ首相は「基本法が求めている国連や欧州連合、NATOによる委任がない」として、艦船派遣への不参加を表明した。
日本政府がイラン攻撃への法的な評価を避けている状況で、同盟国であっても支援するのは無理がある。そもそもホルムズ海峡の緊迫化や原油市場の混乱は、米イスラエルの攻撃に端を発したものである。首相はトランプ氏に対し、早期停戦こそ原油価格の安定に資することだと訴える必要がある。
日本の役割と外交努力
日本が原油の輸送をホルムズ海峡に依存している以上、船舶が安全に航行できる環境を整えるのは政府の役割だ。茂木敏充外相がイランのアラグチ外相と電話で会談し、安全を脅かす行為を停止するよう求めたのは当然の対応だ。
日本は伝統的にイランと友好関係にある。さまざまなルートで地道に交渉を重ねることで事態の悪化を防ぎ、早期解決の糸口を見いだすべきだろう。海峡の安全確保にとどまらず、周辺国などへ被害を拡大させないよう、外交努力を尽くすことが求められる。



