大国の「力の支配」拡大に強い危機感、東京会議が議長声明を発表
世界各国の調査研究機関の代表者が国際情勢を議論する「東京会議2026」が3月11日、議長声明を発表しました。この声明では、大国による「力の支配」が広がる現状に対して強い懸念が表明され、日本や欧州連合(EU)などのミドルパワーが協調して「法の支配」を維持・強化することの重要性が強調されました。
「力の行使」が例外でなくなる現状に警鐘
声明では、ロシアによるウクライナ侵略や、米国とイスラエルによるイラン攻撃などの事例を具体的に挙げて説明がなされました。これらの事例を通じて、「大国による力の行使は、もはや例外的事象ではなくなっている」という深刻な認識が示され、国際社会に対する警鐘が鳴らされました。
さらに声明は、「世界の未来は主体的な責任と行動によってのみ描かれる」と指摘し、ミドルパワーによる連携強化を強く促す内容となっています。これは、単なる理想論ではなく、現実の国際政治における実践的な対応策として位置付けられています。
公開フォーラムでは「多国間主義の再構築」が議論
同日に開催された公開フォーラムでは、「多国間主義の再構築」が主要な議題として取り上げられました。基調講演では、米国のトランプ政権でウクライナ担当特使を務めたキース・ケロッグ氏が登壇し、同盟国との連携による「力による平和」の重要性について言及しました。
ケロッグ氏は特に極東地域に焦点を当て、「日本こそが要だ。日本がより力をつければ、中国は慎重に考えざるを得ない」と強調し、日本の役割の重要性を訴えました。この発言は、地域の安全保障において日本が果たすべき責任と影響力についての認識を反映しています。
ドイツ元大統領と高市首相も連携強化を訴え
ドイツのクリスティアン・ウルフ元大統領も基調講演を行い、「日本と欧州の協力は非常に重要で、連帯を深めるべきだ」と語りました。この発言は、地理的に離れた地域間の協力が、国際秩序の維持に不可欠であるという認識を示しています。
また、高市首相は夕食会に寄せたメッセージの中で、国際社会が複合的な課題に直面している現状を指摘しました。その上で、「同盟国・同志国との連携を一層強化するなど我が国として多国間主義にしっかりコミットする」と表明し、日本が積極的に国際協調に取り組む姿勢を明確にしました。
東京会議の意義と今後の展開
東京会議は、言論NPOが主催し、読売新聞社が後援する国際的な議論の場として、毎年重要なテーマを設定しています。2026年の会議では、大国中心の国際秩序に対する懸念が前面に押し出され、ミドルパワーの役割に焦点が当てられました。
この会議は3月12日に非公開会合を開催し、閉幕する予定です。非公開会合では、より詳細な政策提言や具体的な行動計画についての議論が行われると見られています。今回の議長声明は、国際社会に対して、力に偏重しない秩序の構築を求める強いメッセージを発信するものとなりました。



