被団協・田中熙巳氏が政府の防衛強化に懸念表明 浦和で講演「戦争知らない人たちが政治」
被団協・田中氏が防衛強化に懸念「戦争知らない人たちが政治」

被団協・田中熙巳氏が政府の防衛強化に強い懸念 浦和で講演「戦争を知らない人たちが政治を動かす」

日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員を務める田中熙巳(てるみ)さん(93)=埼玉県新座市=がさいたま市浦和区で講演を行い、防衛力強化を急ぐ政府の姿勢に対して「心配でならない」と強い懸念を表明しました。この講演は1月下旬に埼玉県教職員組合(埼教組)や埼玉県高等学校教職員組合(埼高教)などが主催した集会の一環として実施され、約200人の参加者が集まりました。

「核兵器の恐ろしさを知らない世代が政治を担う」

田中さんは講演の中で、現在の政治状況について鋭く指摘しました。「今の政治に関わっているのは戦争を知らない人たちです。核兵器が実際に使われたら、どのような惨状が生まれるのかを実感として理解していません。この状況は本当に心配でなりません」と語り、自身の被爆体験に基づく重いメッセージを発信しました。

さらに、参加者に対して具体的な行動を呼びかけました。「日本がもし戦争に巻き込まれたら、この国はどうなってしまうのか。皆さんは真剣に考えたことがありますか。この問いを、議員一人一人に直接訴えかける運動をぜひ進めてほしい」と訴え、市民レベルでの政治への働きかけの重要性を強調しました。

「憲法はもう破られている」と指摘

また、日本の防衛政策に関する現状分析も示しました。田中さんは、日本が自衛の範囲を超えて攻撃用の兵器を保持している現状を挙げ、「憲法はすでに破られていると言わざるを得ません。『憲法を守ろう』というスローガンではなく、『憲法の条文通りに実行すべきだ』という表現の方が適切ではないでしょうか」と説きました。この発言は、政府の防衛政策が憲法の平和主義の原則から逸脱しているとの認識を示すものです。

93歳という高齢ながらも、被爆者としての体験を次世代に伝え続ける田中さんの活動は、現代の安全保障論議に貴重な視点を提供しています。集会に参加した約200人の聴衆は、熱心に耳を傾け、戦争の記憶と平和の尊さについて改めて考える機会となりました。