群馬県・西毛地域の曹洞宗県宗務所第12・13教区は6月2日から、ポーランド中部のシュラツ市にある博物館で「日本展」を開催する。ロシアによるウクライナ侵攻以降、隣国ポーランドへ避難した人々を同教区が支援し続けてきたことがきっかけとなった。展示では、仏像などの寺宝や信徒から寄せられた人形など約270点を公開し、日本文化や仏教の教えを現地に紹介する。
支援のきっかけはポーランド出身者の呼びかけ
同教区は安中市、富岡市、甘楽郡などの曹洞宗寺院で構成されている。避難民支援のきっかけは、富岡市で貸衣装店を営むポーランド出身のアンドリュー・クザイさん(42)だった。クザイさんは以前から近所の長学寺の僧侶らと交流があり、ウクライナ侵攻が始まった直後、母国の両親や親族から避難民の受け入れが続く現地の状況を聞き、寺側に支援を求めた。
これを受けて同教区は2022年春、避難民を支援するための御朱印を発行し、集まった志納金で食料品や日用品などをポーランドへ送った。戦争の長期化に伴い、その後も新たな御朱印を作成して物資を届け続けている。
遠い異国からの支援が現地の関心を呼ぶ
遠い日本からの息の長い支援活動に、現地の人々も興味を抱くようになった。「日本の僧侶とはどのような存在なのか」「仏教とはどのような教えなのか」といった素朴な疑問が寄せられるようになり、シュラツ市の副市長がクザイさんを通じて今回の日本展開催を打診。同教区が快諾した。
展示品は、けさや法衣、仏像、仏具などの寺院関連品170点と、折り紙や日本人形など日本文化を伝える品100点で構成される。信徒からの寄贈品も含まれており、富岡市の女性(23)は日本人形とかぶと計5点を寄せ、「大切な人形だが、ポーランドやウクライナの人々に見てもらえるならうれしい」と語った。
物流の懸念を乗り越え現地へ
展示品は船便で2月に発送され、中東情勢の緊迫化による物流への影響が懸念されたが、予定通り約3カ月で現地に届いたという。一部の品は展示後、現地の博物館に寄贈される予定だ。
表彰と今後の支援継続
日本展の開催に合わせ、これまでの支援活動に対する表彰も行われる。代表として現地を訪れる第13教区長で海源寺(富岡市)の住職、岩崎義幸さん(62)は「ウクライナ戦争がもっと早く終結すると思っていた。本当は戦争が終わってから表彰されたらうれしいが」と複雑な思いを語る。その一方で、「戦争が終わるまで支援は続けたい」と決意を新たにしている。
現地では市民やウクライナ避難民との交流も予定されている。岩崎さんは曹洞宗の教えである「同事」に触れ、「相手の立場に身を置き、共に寄り添って歩むという考え方を現地の人々に伝えたい」と述べた。



