国内ロケット全停止の危機、H3再開へ対策2案を提示
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、主力ロケット「H3」8号機の打ち上げ失敗を受けて、搭載衛星と機体をつなぐ台座(PSS)の欠陥に対する対策案を2つ示した。これにより、国内のロケット打ち上げが完全に停止している状況からの早期再開を目指す。
官民ともに衛星打ち上げ手段を失う異常事態
現在、国内ではH3に加えて民間ロケット「カイロス」3号機も今月失敗しており、衛星を宇宙へ運ぶ手段が官民ともに失われた異常事態が続いている。このため、国内外から衛星打ち上げを希望する需要を取りこぼしているだけでなく、近く予定されている複数の政府衛星の打ち上げ計画も危ぶまれている状況だ。
H3ロケット8号機は昨年12月22日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたが、第2段エンジンの燃焼が予定より早く停止。搭載していた準天頂衛星「みちびき5号機」を予定軌道に投入できず、打ち上げは失敗に終わった。
衛星台座の接着不良が原因と判明
失敗の原因として、PSSのパネルを貼り合わせた箇所の一部がはがれ、強度が低下した状態で飛行を続けたことが明らかになった。この状態でフェアリング(衛星カバー)を分離した際の衝撃によりPSS全体が崩壊し、配管などを損傷。燃料タンクの圧力低下を招き、エンジン停止につながった可能性が高いと分析されている。
さらに調査により、PSSの製造工程で部材が高温多湿の環境に一時保管され、接着剤が湿気を吸収して強度が低下した可能性も判明したという。
補修案とボルト固定案の2対策
JAXAが提示した対策案は次の2つだ:
- 補修案:製造済みのPSSではがれた箇所と接着強度が低下した範囲をすべて修復する方法
- ファスナ結合案:パネル同士の結合を現状の接着剤からボルトなどによる機械的固定に切り替え、はがれの発生を根本的に防ぐ方法
先代のH2AロケットではPSSをファスナ結合していたが、H3では軽量化と低コスト化を図るため接着結合に変更した経緯がある。今回の事態は、その設計変更が招いた結果とも言える。
早期再開と根本対策の間で検討続く
24日の文部科学省専門小委員会で、JAXAの有田誠・H3プロジェクトマネージャは「補修案だと打ち上げ再開は早いが、ファスナ案ではより強度が増す代わりに時間がかかる。2案を比較し、どう再開につなげるか鋭意検討している」と述べた。
現在、JAXAは両案について実機への反映手順や日程、効果を詳細に比較中で、どちらを採用するか最終決定するまでにはさらなる検討が必要とみられる。国内宇宙開発の命運を握る重要な判断が迫られている。



