名古屋大が開発した超小型衛星「マグナロⅡ」、地球磁場を活用した編隊飛行を実現へ
名古屋大学の稲守孝哉准教授(宇宙工学)を中心とする研究チームは、宇宙空間でエンジンを一切使用せずに軌道制御を行い、2機に分かれて編隊飛行を実現する超小型衛星「MAGNARO(マグナロ)Ⅱ」の開発に成功した。この衛星は宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクトの一環として、米宇宙企業のロケット「エレクトロン」に搭載され、近くニュージーランドから打ち上げられる予定だ。
地球の磁場と空気抵抗を巧みに利用する革新的なメカニズム
マグナロⅡは高さ約30センチ、幅と奥行きが各10センチの直方体形状で、重量は4.2キログラムというコンパクトな設計となっている。内部には電磁コイルを内蔵しており、ロケットから放出されて軌道に投入されると、地球の磁場を利用して回転運動を開始する。この回転によって生じる遠心力を活用し、衛星は親機(高さ20センチ)と子機(高さ10センチ)の2機に分離する仕組みだ。
さらに、上空500~600キロメートルに存在するわずかな空気の抵抗を利用して、親機と子機の間の距離を精密に調整しながら飛行を継続する。この技術により、従来のエンジンを用いた衛星に比べて、通信装置や望遠鏡などの搭載機器を増やすことが可能となり、機能性の大幅な向上が期待されている。
編隊飛行による実用化への期待と過去の失敗からの教訓
複数の超小型衛星が編隊を組んで飛行することは、実質的に巨大なアンテナとして機能するため、データ通信量の増大や観測精度の向上など、さまざまな利点が考えられる。磁気の力を利用したこのアプローチは、燃料を必要としない持続可能な宇宙技術として、日本の独自性を発揮する可能性を秘めている。
稲守准教授らのチームは2022年に、磁気力を利用した初代マグナロを開発していたが、JAXAのロケット「イプシロン6号機」が鹿児島県での打ち上げに失敗し、宇宙への到達を果たせなかった。今回のマグナロⅡでは、通信機やセンサーを改良し、より信頼性の高い設計となっている。
稲守准教授は「過去の失敗を基に技術は確実に進化しています。この成果を実用化につなげ、日本独自の宇宙技術として完成させたいと考えています」と意気込みを語る。マグナロⅡの成功は、超小型衛星を用いた新たな宇宙利用の道を開く重要な一歩となるだろう。



