「恐竜博士」真鍋真氏が国立科学博物館長に就任、地球史から現代を読み解く
「恐竜博士」真鍋真氏が国立科学博物館長に就任

「恐竜博士」真鍋真氏が国立科学博物館長に就任

国立科学博物館の新しい館長に、4月1日付で「恐竜博士」として知られる真鍋真氏が就任した。政府が「稼ぐ博物館・美術館」への圧力を強める中、博物館の存在意義や地球史から見える世界の姿について、真鍋氏が自身の経験を交えて語った。

博物館は日常的な学びの場

真鍋氏は、博物館や美術館を「何かを知り、自由に学ぶ場所」と位置づける。非日常的な場でありながら、日常的に訪れてほしいと願う。自身の米国留学時代、学生たちが気軽に博物館を利用する姿に驚いたという。「トイレを借りたり、カフェでコーヒーを飲んだり、ショップで友人へのプレゼントを買ったり、そのついでに展示を少し見る。私自身はがっちり見ることしかしてこなかったので、まねしたら楽しくてしょうがなかった」と振り返る。

真鍋氏は、お気に入りの展示の前に数分だけ立ち寄ったり、毎回異なる展示を一つ見たりすることを勧める。「1日いても展示を見尽くせないので、欲張らずに行くようになった」と語る。

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発見と気づきの場としての博物館

「ああ、そうだったのか」と何かを理解する達成感がうれしいと真鍋氏。例えば、科博の展示にあるパンダの手の指には第6や第7の指があり、竹をつかみやすい形状になっている。見知らぬ人が集まる展示物や、難しい展示を熱心に見る子どもからも気づきが得られるという。特別展「和食」では、お雑煮の餅の形やだしの違いで来場者が盛り上がる様子が見られた。

「展示を見て、こんなことがおもしろいのかと、忙しい生活ではやり過ごしている自分自身を発見する場が博物館や美術館です。単細胞生物にひかれることもあるかもしれません。子どもも大人も高齢者も、驚くような発見や気づきが山ほど起きる場所なので、もっと来ていただきたい」と真鍋氏は強調する。

「稼ぐ」圧力と博物館の使命

しかし、入館料が高いと気軽に立ち寄れない。政府は今年、国立博物館・美術館に展示事業に係る自己収入比率を上げるよう求め、結果次第で「再編」するとしている。真鍋氏は、動物や植物、化石などの標本・資料は誰かが保存しなければ消えてしまうと指摘。「それを整理し、研究し、研究成果とともに次世代につなぐと同時に、人材やノウハウ、情熱も含めて継承するのが博物館の役割」と述べる。

その上で「『稼ぐ』ことに集中しすぎると、数値だけを追いかけて見えなくなるものがある」と警鐘を鳴らす。博物館は短期的な収益ではなく、長期的な文化・科学の継承を重視すべきだという。

地球史から見る現代社会

真鍋氏は恐竜をはじめとする生物の興亡を研究してきた地球史の視点から、現代社会をどう見るか。生物の大量絶滅や気候変動の歴史は、人類が直面する環境問題や社会変動を考える上で示唆に富む。「地球史から見れば、人間の活動は地質学的な一瞬にすぎない。しかし、その一瞬が地球全体に影響を及ぼす力を持っている」と語る。

博物館は、そうした長期的な視点を提供する場でもある。真鍋氏は「博物館は日常にあってほしい。自分の好きなものに出会い、気づく場所。そして、地球や生命の歴史から、今の私たちの立ち位置を考えるきっかけを与えてくれる」と結んだ。

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