有名人画像を悪用した詐欺広告の実態を可視化する通報サイトが本格運用を開始
ソーシャルメディアを中心に有名人の偽画像を無断使用した詐欺広告が蔓延する状況を受け、市民から不審な広告についての通報を受け付け、その実態を「見える化」するウェブサイトの運用が2026年3月に正式に開始されました。この取り組みは、デジタル技術を活用して多様な市民の声を政策形成に反映させることを目指す民間団体「デジタル民主主義2030(DD2030)」によって運営されています。
試験運用では6日間で111件の通報が寄せられる
サイト「Anti Fraud」の試験運用版は3月13日に公開され、19日朝までのわずか6日間で111件もの通報が市民から寄せられました。トップページには通報された疑わしい広告の画面が表示され、調査の進捗状況が公開されています。具体的には、広告に使用されている内容や表現を詳細にチェックし、有名人の画像が使われている場合には、その人物の日頃の言動と照らし合わせて不自然な点がないかを精査した上で判定結果を公表する仕組みです。
これらの通報データを継続的に蓄積することで、どのプラットフォームでどのような詐欺広告がどの程度出回っているのかを明確に把握できるようにすることが計画されています。警察庁の発表によれば、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9538件、被害総額は1274億7千万円に達し、いずれの数値も前年から増加傾向を示しています。有名人の画像や動画を無断使用した広告も多数確認されているものの、プラットフォーム事業者による対策や政府の対応が被害の拡大速度に追いついていないのが現状です。
台湾の成功事例を参考に市民参加型の政策形成を目指す
DD2030代表でスマートニュース社長の鈴木健氏は19日に記者会見を開催し、この取り組みの詳細を説明しました。会見では、台湾において同様の通報サイトを運用した結果、市民による熟議を経て85%が事業者への規制強化に賛成し、政府が広告審査を強化する政策に結びついた成功事例が紹介されました。団体はこの台湾の事例を参考に、日本でも市民参加型の政策立案を実現することを目標としています。
具体的なプロセスとしては、市民から幅広く意見を収集した上でワークショップを開催し、実効性のある対策案を策定します。さらに、専門家と一般市民との間で意見交換を重ねながら対策内容を練り上げていく「熟議」のプロセスを、今後3カ月間で推進することを目指しています。慶応大学の研究センターとの連携に加え、台湾で初代デジタル担当大臣を務めたオードリー・タン氏からの賛同も得ていることが明らかになりました。
鈴木代表は「熟議を通じて国民の合意形成を図ることに挑戦していきたい」と意気込みを語りました。この取り組みは、デジタル技術が進化する現代社会において、市民の声を直接政策に反映させる新たな民主主義の形を模索する試みとして注目を集めています。詐欺広告による被害が拡大する中、市民自身が積極的に問題解決に参加する機会を提供する画期的なプラットフォームとして期待が寄せられています。



