連載:FOOD発見 サクランボ県・山形の危機感、猛暑でハチ減少 「佐藤錦1強」脱却へ
連載:FOOD発見 サクランボ県・山形の危機感、猛暑でハチ減少

連載:FOOD発見 サクランボ県・山形の危機感、猛暑でハチ減少 「佐藤錦1強」脱却へ

2026年5月29日 14時00分 斎藤徹 大村美香

国内の7割超のシェアを誇る「サクランボ王国」山形県が岐路に立たされている。気候変動の影響で、昨年、一昨年は収穫量が8千トン台となる記録的な不作に見舞われた。今年は3年ぶりに1万トン台を確保できそうな見込みだが、前途は多難だ。生産地のいまを追った。

ハウス栽培のサクランボ、順調に成長

5月中旬、山形県中央部の山形盆地に広がるサクランボ畑では、大きくなった実が赤く色づき始めていた。主産地、天童市の王将果樹園でも、今月30日のオープンに向け、雨よけシートの設置や養分の分散を避ける摘果作業が続いていた。

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「実がなっているのを見ると、これまでの努力が報われたようで、ほっとする」と矢萩洋美社長(47)は笑顔を見せた。この時期は毎日、気温や空模様をにらみながら作業にあたり、睡眠不足が当たり前という。

猛暑でハチ減少、代わりに授粉を担うのは…

サクランボはほとんどの品種が自家受粉しない農作物で、実をならせるには人や昆虫の力で受粉させなくてはならない。だが近年、花粉を運ぶ小型のハチ「マメコバチ」が県内全域で減っている。県農林水産部によると、毎年猛暑が続き、成虫になる前に死ぬ個体が多いという。

マメコバチの活動を補うため、生産者は人手による受粉や他の昆虫の利用を模索している。また、高温に強い品種の開発や、ハウス栽培の拡大など、気候変動に対応した技術の導入が急務となっている。

「佐藤錦1強」からの脱却

山形県のサクランボ生産は高級品種「佐藤錦」に大きく依存してきた。しかし、気候変動による不作やハチ減少の影響を受け、生産者は品種の多様化を進めている。県は新品種の開発や、栽培技術の普及に力を入れ、リスク分散を図る。

「佐藤錦に頼りすぎない体質への転換が必要」と県の担当者は語る。消費者のニーズも変化しており、甘さや酸味のバランスが異なる品種への関心が高まっている。

今年の収穫量は3年ぶりに1万トン台を見込むが、依然として不安定な状況が続く。生産者たちは、気候変動に強いサクランボ生産を目指し、日々奮闘している。

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