猪苗代湖が国際的に重要な湿地を保全するための「ラムサール条約」に登録されたことを受け、福島県は湖畔に水生生物や野鳥を観察するための仮設歩道を新設し、環境学習を促進する方針を固めた。県内外の子どもたちが訪れる場を整備し、自然環境保全への意識を醸成するとともに、本県の代表的な景勝地である猪苗代湖の魅力発信にもつなげたい考えだ。
仮設歩道の整備計画
仮設歩道は、猪苗代水環境センター(猪苗代町)から湖畔へ向かって整備する計画で、湖の水際で水生生物に直接触れたり、野鳥を身近に観察したりできる場所も併せて整備し、環境学習の場として活用する。同センターは猪苗代湖と裏磐梯湖沼群の水質や放射性物質などの調査研究を行う施設であり、環境学習や自然環境保全活動の拠点としても利用されている。
一方、湖周辺は水環境の保全に関する県の条例などが適用され、これまで桟橋などの建築行為が制限されてきた。県は仮設歩道を整備するにあたり、湖に群生するヨシを資材として活用する案を検討している。ヨシをつなぎ合わせた「よしず」や、チップ状に裁断してプラスチック製のマットと混合して敷設するなど、湖の自然環境を生かした環境配慮型の整備案が浮上している。
環境教育の取り組み
猪苗代湖を活用した環境教育は、県の教育旅行ガイド「県SDGs探究プログラム」の一環として位置づけられている。これまでも、湖に面する会津若松市、郡山市、猪苗代町の3市町を中心に環境学習が実施されてきたほか、地元のNPO団体や奉仕団体が主体となった水草やヒシの回収・清掃活動を通じて自然体験学習が進められてきた。
昨年7月にラムサール条約に登録され、国際的に重要な湿地と認められたことで、国内外からの注目が高まることが期待される。県は学校教育や環境教育の場として湖を活用するための候補地選定を進めてきた。
子ども大使事業と水辺学習
今年度は、県内の小学5・6年生を対象とした「猪苗代湖子ども大使」事業を創設し、自然環境保全に取り組む人材の育成や猪苗代湖への愛着形成を開始した。さらに学習環境を充実させるため、仮設歩道の設置による水辺学習を推進する。県水・大気環境課は「より良い水辺学習の場を整備することで、子どもたちに猪苗代湖特有の豊かな生態系を知ってほしい」と話している。



