台風通過後に脳卒中で緊急入院するリスクが上昇することが、東京科学大の研究グループの調査で明らかになった。全国約85万人の入院患者データと気象データを解析した結果、特に脳内出血でリスクが高いことが判明。地球温暖化の影響で台風の勢力強化や上陸回数増加が懸念される中、自然災害に強い地域医療体制の整備が重要と提言している。
研究の概要と結果
研究グループは2011~21年の台風シーズン(5~10月)に発生した脳卒中による緊急入院85万294症例(男性54.9%、75歳以上52.8%)を気象データと組み合わせて分析。入院前1週間に患者の居住地都道府県庁が最大風速毎秒15メートル以上の強風域に入っていたかを判定し、気温などの影響を除去した。
その結果、台風遭遇後1週間で脳卒中緊急入院リスクは平常時比4.9%増加。出血性脳卒中では12.9%増と統計的に明確な差が認められた。個別では脳内出血が13.1%増で最も高く、くも膜下出血も9.4%増で上昇傾向。台風遭遇から4日以内が特に注意が必要と判明した。一方、脳梗塞などの虚血性脳卒中ではリスク上昇は見られなかった。
地域差と台風規模の影響
各都道府県で1回の台風遭遇あたりのリスクを分析したところ、地域による差や台風の規模による影響も確認された。詳細なデータは専門誌に掲載されている。
今後の課題と提言
研究グループは、気圧変化やストレスが脳卒中リスクに影響する可能性を指摘。温暖化で台風が強大化する中、医療機関の連携強化や早期警告システムの構築など、地域医療体制の整備を急ぐ必要があるとしている。
この研究は、台風と脳卒中の関連を大規模データで示した点で意義深く、防災医療の新たな知見として注目される。



