終末時計「85秒」の危機 ホルツ教授が広島訪問 被爆者と核廃絶へ連携強化
終末時計85秒の危機 ホルツ教授広島訪問 被爆者と連携 (11.03.2026)

終末時計が示す「85秒」の危機 ホルツ教授が広島で被爆者と対話

人類滅亡までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」の針が、現在は過去最短の「85秒」に迫っています。この時計の時刻を決定する組織のトップであるダニエル・ホルツ米シカゴ大学教授が11日、広島市を訪問し、被爆者らと面会しました。核戦争への危機感が高まる国際情勢の中、広島での対話を通じて針を引き戻す取り組みが模索されています。

終末時計の歴史と現在の緊迫した状況

終末時計は、午前0時を人類滅亡の時刻に見立て、現時点がどれほど近づいているかを時刻で示すものです。米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」(原子力科学者会報)の科学・安全保障委員会が1947年から公表しており、核戦争や気候変動の影響などを考慮しています。

時計の針は、最初の発表時は残り「7分」でしたが、冷戦終結後の1991年には「17分」と最長を記録しました。しかし近年では、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化などを受け、針は進み続けています。今年1月には「85秒」まで迫り、人類が直面する危機の深刻さを浮き彫りにしています。

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広島訪問のきっかけと被爆者との協議

ホルツ教授が広島を訪れたのは、県原爆被害者団体協議会(県被団協)の田中聡司理事(82)と昨年10月に米シカゴで面会したことが契機でした。証言活動で訪問した田中理事と、世界における核の危機への認識を共有するとともに、2027年で創設80年を迎える終末時計の「針を引き戻す取り組み」を協議していくことで合意しました。

この日、ホルツ教授は県被団協事務所(広島市中区)で約1時間にわたり田中理事と会談。来年に科学者や被爆者らを招いてフォーラムを開催する考えなどを共有したと伝えられています。また、12日には松井一実・広島市長と対談する予定です。田中理事は「市などにも協力をお願いしながら、内容を具体化したい」と語りました。

国際情勢の緊迫化と広島での対話の意義

会談後、報道陣の取材に応じたホルツ教授は、マクロン仏大統領が核戦力を増強すると表明したり、米国とイスラエルがイランを攻撃したりしている国際情勢を踏まえ、「(核兵器使用の)緊張感は刻一刻と増している」と強調しました。

さらに、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が世界に示してきた「核のタブー」について、「その考えが薄れている現状があるからこそ、広島でこうした協議をする意義は大きい」と述べました。広島での対話が、核兵器使用への抑止力として重要な役割を果たすことが期待されています。

ホルツ教授は平和記念公園(広島市中区)も訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、犠牲者への哀悼の意を表しました。この訪問を通じて、被爆地広島と国際的な科学者コミュニティの連携が強化され、終末時計の針を引き戻すための具体的な行動が進められる見込みです。

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