中国全人代開幕、GDP成長目標を3年ぶり小幅引き下げ 李強首相「消費押し上げを踏み込んで実施する」
中国全人代開幕、GDP成長目標を3年ぶり小幅引き下げ

中国全人代が開幕、経済成長目標を3年ぶりに下方修正

【北京=照沼亮介、東慶一郎】中国の全国人民代表大会(全人代)が3月5日、北京の人民大会堂で開幕した。李強首相は政府活動報告において、2026年の国内総生産(GDP)成長率目標を「4.5%~5.0%」と表明し、前年の「5%前後」から小幅に引き下げた。これは2023年以来、3年ぶりの成長率目標の引き下げとなり、1990年代以降で最低の水準となる。

構造調整とリスク防止を重視、内需主導の成長を目指す

李強首相は成長率目標の引き下げについて、「構造調整やリスク防止、改革促進のために余裕を残し、今後のよりよい発展のために基礎をうち固める」と説明した。さらに、「消費押し上げを踏み込んで実施する」と強調し、内需主導の成長を目指す方針を明確に示した。

中国では不動産価格の下落などにより消費不振が続いており、習近平政権は経済減速を容認することで、成長の速度よりも経済の質や効率を優先し、市場や社会の安定を図る考えとみられる。しかし、達成は容易ではない。2025年の成長実績は目標を達成する5.0%だったが、前年比では横ばいだった。政府による自動車などの買い替え促進策が一定の効果を発揮したものの、需要は一巡したとみられる。世界銀行は2026年の成長率を4.4%と予測している。

財政赤字目標はGDP比「4%前後」、国防予算は前年比7%増

李強首相は、2026年の財政赤字目標をGDP比で「4%前後」と表明し、景気の下支えのために水準を緩和した前年と同程度とした。2024年から発行を始めた超長期特別国債も、前年と同規模の1兆3000億元(約30兆円)とした。特別国債を充てる大手国有銀行への資本注入は今年も行うとしたが、発行額は前年から2000億元減の3000億元に引き下げた。地方財政や不動産市況の悪化を受ける金融システムの安定化を目指しつつ、財政規律の維持も意識した姿勢がうかがえる。

また、2026年の政府予算案が公表され、国防費は前年比7%増の約1兆9095億元(約43兆5000億円)が計上された。昨年(7.2%増)に近い伸び率で、日本の2026年度防衛予算案(9兆353億円)の約4.8倍に上る。政府活動報告では、2027年の軍創設100年に向け、「先進的な戦闘力の整備を加速する」と強調。米軍に対抗できる人工知能(AI)やサイバー、宇宙などハイテク分野の兵器開発を進める方針を示した。

台湾問題への強硬姿勢を鮮明に、第15次5か年計画も審議

台湾問題について、李強首相は「『台湾独立』勢力に断固として打撃を与え、外部勢力の干渉に反対し、祖国統一の大業を推進しなければならない」と述べ、台湾の頼清徳政権への敵対姿勢を鮮明にした。今回の全人代では、2026年から2030年までの経済・社会政策の指針となる「第15次5か年計画」も審議される。政府活動報告では、2035年までに1人当たりGDPを2020年比で倍増させる目標も示された。

中国の経済成長は、内需拡大と財政規律のバランスを取りながら、質の高い発展を目指す転換期を迎えている。しかし、不動産市場の低迷や消費の不振が続く中、目標達成への道のりは厳しいものとなる見込みだ。国際社会は、中国の国防費増加と台湾問題への姿勢に注視している。