日本、メルコスールとEPA交渉へ調整 6月のG7で表明目指す
日本、メルコスールとEPA交渉へ 6月表明目指す

日本政府は、南米南部共同市場(メルコスール)との間で経済連携協定(EPA)締結に向けた交渉を開始する方向で最終調整に入った。複数の政府関係者が明らかにしたところによると、6月15日から17日にかけてフランスで開催される主要7カ国(G7)首脳会議の機会を捉え、高市早苗首相がブラジルのルラ大統領と直接会談し、交渉開始を正式に表明することを目指している。

メルコスールの経済規模と協定の狙い

メルコスールはブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、そしてベネズエラ(現在は資格停止中)の南米5カ国で構成される関税同盟であり、域内の国内総生産(GDP)は合計で約3兆ドル(約480兆円)に達する巨大市場である。日本はこの協定を通じて、関税をはじめとする貿易障壁の引き下げや、人の移動、投資、知的財産権など多岐にわたる分野での共通ルールの策定を相互に進め、経済的な結びつきを一層強化する方針だ。

このEPA交渉は、高市政権にとって初めての大規模な経済連携協定の交渉となる。日本とメルコスールはこれまで、貿易・投資関係の強化を目的として、昨年12月に「戦略的パートナーシップ枠組み」を設立し、実務者レベルでの協議を重ねてきた経緯がある。

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保護主義への対抗と自由貿易圏の拡大

「トランプ関税」に象徴される保護主義的な動きが国際的に強まる中、日本政府はEPAやCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、いわゆる米国抜きの環太平洋経済連携協定)の拡大を通じて、自由貿易圏の拡大を積極的に推進している。特にメルコスールに関しては、欧州連合(EU)が今年1月に自由貿易協定(FTA)に署名したほか、韓国も同地域との交渉を進めており、日本としても出遅れによって南米市場で日本企業が不利な立場に立たされることを避けるため、交渉を加速させる必要があると判断した。

経済安全保障と農産品を巡る課題

日本側は経済安全保障の観点からも、メルコスール諸国を重要な鉱物資源、飼料、エネルギーの供給源として位置付けており、安定的な調達先としての期待が高い。また、自動車をはじめとする工業製品の輸出に関して、メルコスール側が課す関税の引き下げも主要な交渉目標の一つである。

一方、メルコスール側は牛肉などの農産品の日本への輸出拡大を強く望んでいるが、日本国内の農業関係者からは、安価な農産物の流入による国内農業への打撃を懸念する声も上がっており、交渉ではこうした農業分野のセンシティブな問題が大きな焦点となる見通しだ。

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