AIが解き明かす中国の対日批判「沈黙の6日間」と習近平政権の意思決定
中国によるSNS上の対日批判を人工知能(AI)で詳細に分析した結果、昨年11月に高市首相の台湾有事を巡る発言に対する習近平政権内部の複雑な意思決定プロセスが初めて明らかになった。AIが導き出した「沈黙の6日間」と呼ばれる特異な期間について、日中両政府の関係者への徹底取材を通じてその実態を探った。
初期段階では「様子見」指示も、その後態度が硬化
中国政府関係筋が読売新聞の取材に応じて明らかにしたところによると、昨年11月7日の高市首相答弁直後の段階では、中国共産党の指導部から「様子見」を指示されていたという。当時、高市首相は中国が台湾を海上封鎖した場合、安全保障関連法が定める日本の「存立危機事態」になり得るとの発言を行い、これに対して中国政府は日本政府に正式な抗議を申し入れた。
しかし、興味深いことに、首相が3日後の11月10日に衆院予算委員会で「今後は特定のケースを想定して明言することは慎む」と述べたことで、中国政府内部では「姿勢の変化がある」と評価する声も上がっていた。この発言は、当初の強硬な姿勢から一定の後退を示すものと受け止められたようだ。
SNS分析で浮かび上がった「沈黙の6日間」の実態
新興企業サカナAIによるX(旧ツイッター)の詳細な分析結果によれば、中国共産党系アカウントにおける「台湾問題への介入と内政干渉」を主題とした投稿は、11月7日から9日までの期間はわずか数件程度に留まっていた。この期間がまさに「沈黙の6日間」の前半部分に相当する。
状況が変化したのは11月10日、中国外務省の報道官が記者会見で高市首相の答弁に言及した日である。この日を境に投稿数は一時的に増加傾向を示したが、翌11日には再び数件程度に低下するという特異な動きを見せた。このデータパターンは、習近平政権内部で対応方針について活発な議論が行われていた可能性を示唆している。
AI分析と関係者への取材を総合すると、習近平政権は当初、高市首相の発言に対して比較的穏健な対応を取っていたものの、その後方針を転換して態度を硬化させた経緯が浮かび上がってくる。この「沈黙の6日間」は、中国共産党内部の意思決定プロセスが外部から観測可能な形で現れた稀有な事例と言えるだろう。
今回の分析結果は、デジタル時代における外交対応の新たな側面を映し出している。SNS上の言論をAI技術で分析することで、従来は窺い知ることの難しかった政府内部の意思決定のタイミングや方向性を推測することが可能になりつつある。日中関係の微妙なバランスを考える上で、このようなデータ駆動型の分析手法が今後さらに重要性を増していくことが予想される。



