熊本地震10年、アートでたどる記憶と復興の歩み 段ボールベッドが心の居場所に
熊本地震10年、アートで記憶と復興をたどる展覧会 (04.04.2026)

熊本地震10年、アートで記憶と復興の歩みをたどる展覧会が開催中

熊本地震から10年の節目を迎え、被災の記憶と復興の歩みをアートでたどる展覧会が、熊本市現代美術館で開かれています。この展覧会は、地元ゆかりの作家や市民の表現を通じて、苦難を乗り越えてきた人々の姿と、それを支えてきた文化の営みを静かに伝えています。現代美術家の日比野克彦さんによる段ボールベッドの取り組みなど、アートが心のケアに深く関わる試みが注目を集めています。

日比野克彦さんによる被災者に寄り添うアートの試み

展覧会の中心的な取り組みとして、現代美術家の日比野克彦さん(67歳)が、2016年4月の地震発生直後から行ってきた活動が紹介されています。日比野さんは、1980年代初頭に段ボールを素材にした作品でデビューし、ポップアートの旗手として活躍してきました。熊本の友人からの要請を受け、熊本市立城東小学校の避難所向けに数百の段ボールベッドを手配し、前震から10日後の4月24日に熊本入りしました。

小学校では、段ボールベッドに番地を付けるワークショップを開きました。ベッドの壁にペンで数字を書いて彩色し、色付きテープを貼ることで、無機質な段ボールが温かみを帯びた個性的なベッドへと変化していきました。この試みは、避難所に心のゆとりを持ち込み、「居場所」としての意味を与えることを目的としていました。子どもたちがそれぞれのベッドを「自分の家」として誇らしげに語る姿も見られたと報告されています。

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公開制作で再現された当時の様子

日比野さんは、本展開幕後の3月21日に会場で当時の様子を再現する公開制作を行いました。手書きで縁取り数字を描くという短時間の作業で、無機質な段ボールが温かみを帯びた個性的なベッドへと大きく変化していく様子が、来場者に強く印象づけられました。このプロセスは、アートが単なる表現を超えて、被災者の心の支えとなり、復興のプロセスに深く関わる可能性を示しています。

展覧会では、他にも地元作家や市民による作品が展示され、地震からの10年間の歩みを多角的に振り返っています。苦難の中でも文化や芸術が人々を結びつけ、希望をもたらす役割を果たしてきたことが、静かなトーンで伝えられています。熊本地震から10年を経て、アートを通じた記憶の継承と復興の物語が、新たな形で語り継がれています。

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