W杯開幕、会場外で警官と市民が衝突 異様な幕開けに
サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米大会が11日、米国とカナダに先駆けてメキシコ市で開幕した。スタジアムが熱気に包まれて沸く一方、会場の外側には開催に抗議する大勢の人が押しかけ、一部が暴徒化して警官隊と衝突した。競技場からの歓声が聞こえるなか、デモ参加者と治安部隊が路上でにらみ合う異様な幕開けとなった。
抗議デモの背景
「W杯はどうなってしまうのか」――。メキシコ市では開幕当日の朝まで、そんな話題が人々の間でもちきりだった。労働組合や市民団体による大きな抗議デモが複数予定され、一部はW杯の妨害を予告していたからだ。
最も警戒されていたのが、メキシコ南部を基盤にした公立学校の教職員組合によるデモだ。先住民が多く経済的に貧しい地域の人々で、給与の100%引き上げなどを要求。「解決がなければ、ボールは転がらない」とのスローガンを掲げ、要求が受け入れられない場合はW杯を妨害すると圧力をかけていた。
デモの激化
組合員やその家族たちは6月初めにメキシコ市に押し寄せ、テントを張って街の中心部を占拠。大きなデモを繰り返し、政府庁舎やW杯関連の公共物を破壊した。政府と組合の交渉は10日になっても合意に至らず、組合側は開幕日のデモに踏み切った。暴徒化したデモ隊はスタジアムの目の前まで迫り、警官隊と衝突する事態となった。
熱狂の裏で、W杯共催国の不協和音も浮き彫りになっている。米国の強硬姿勢や移民問題など、大会を取り巻く課題は多い。チケットや鉄道の価格高騰も「天文学的」と評され、サッカーファンにとって厳しい状況が続いている。
今後のW杯の行方に注目が集まる中、メキシコ市の混乱は収束の兆しを見せていない。



