コメの生産地と消費地の自治体が協力し、需要と供給の拡大を一体的に進める「コメがつなぐ自治体間農業連携首長協議会(コメサミット)」が5月、大阪府泉大津市の呼びかけで全国の15自治体が参加して発足した。学校給食への提供などを通して新たな需要を生み出すだけでなく、農業体験や食育を通じてコメの価値を次世代に伝えることで米食の習慣を根付かせ、安定した生産につなげる構想だ。
コメを巡っては、農家の高齢化や担い手不足に加え、休耕地や獣害被害が拡大している。一方、消費地ではコメの価格高騰や買い控えもみられ、コメづくりの基盤が揺らぎ始めている。こうした中、全国の生産地と協定を結び生産を委託し、コメを直接確保する取り組みを進めている泉大津市の南出賢一市長が発起人となり、北海道から沖縄まで全国の15自治体が参加して協議会を設立した。
需要を掘り起こす取り組みとして、学校給食で米飯給食を増やしたり、妊婦や高齢者にコメを贈ったりするほか、今後は非常時に備えて各自治体のコメの備蓄などで連携を進める。
5月18日、東京都内で設立総会が開かれ、生産地の北海道旭川市、高知県香南市など12市町村、消費地からは泉大津市や高石市、神奈川県鎌倉市など3市が参加。南出市長を会長に選んだほか、泉大津市と委託契約を結び、「金芽米」を学校給食などに提供している米殻メーカー「東洋ライス」(和歌山市)の雑賀慶二社長らが顧問に就いた。
総会で南出市長は「消費が生産を支え、生産が消費に応える循環を生み出し、日本の食と農の持続可能性を高める」と協議会の意義を強調。生産地の代表として副会長に就いた旭川市の今津寛介市長は「生産地と消費地の連携は、農家が安心して生産できる環境づくりにつながり、有機農業など環境に配慮した農産物の販路確保にも貢献できる取り組みだ」と述べた。
来賓として出席した鈴木農相も「コメを軸とした自治体間連携の深まりは地域住民の暮らしを支え、ひいては国全体の食料安全保障にもつながる」と期待を示し、政府としても活動を支える意向を示した。
最後に、南出市長が、コメの生産と消費拡大に向けた提言書を鈴木農相に手渡した。提言では、農林水産省に対し、学校給食や子育て支援など消費の「出口」となる取り組みを需要創出の新たなモデルと位置づけること、食料安全保障の観点から広域的な供給ネットワークのあり方を検討することなどを求め、国と連携して安定的な食料供給体制を目指すことを掲げた。



