有明海の干潟で泥にまみれて走る競技会「鹿島ガタリンピック」が5月31日、佐賀県鹿島市で開催された。今年で42回目を迎えた大会には約1400人が参加。佐賀と福岡に勤務する朝日新聞の記者4人も初挑戦し、泥まみれの体験から人生訓を得た。
泥に足を取られ、顔も泥まみれ
潮が引くと、一面に海底の泥が姿を現す有明海の干潟。足を入れるとずぼっと沈み、泥がまとわりつく。佐賀総局の記者(44)は「25メートル自由ガタ 男性の部」にエントリー。初めての参加で緊張していたが、スタート地点に向かうまでに泥と一体になると吹っ切れたという。
周囲に広がるのは緑色のクリーム状の泥。手ですくってなじませるとテンションが上がり、この泥が有明海の豊かな生態系を育んでいると考えるといとおしくなる。午後4時50分ごろ、号砲とともに思い切って走り出したが、泥の中では数歩しかもたなかった。気づけば前に倒れ、顔が泥に触れる。しょっぱい。干潟の水も海水なのだ。
泥に埋まりながら前を向くと、隣でスタートした同僚の尻が少し先にあった。食らいつこうと体を起こすと2本足で立ち、一歩一歩足を運んで何とかゴールにたどり着いた。「気持ちいい!」と感慨がこみ上げた。
干満差6メートル、日本一の干潟
この日、記者は午前9時台に会場に到着。満潮から時間が経っておらず、まだ岸まで海水があった。しかし徐々に潮が引き、「ガタ」が現れ景色は一変。海中に沈んでいた大会の看板も姿を見せ、周辺ではムツゴロウがジャンプする様子も見られた。
正午の開会式の頃には沖まで干潟が広がっていた。最大6メートルに上る日本一の有明海の大きな干満差を目の当たりにした。ガタリンピックは干潟が出ている時だけ楽しめるイベント。記者が参加した競技はプログラムの最後だったが、進行が遅れていた。干潮(午後2時55分)を過ぎ、沖合から潮が再び満ちていく中、会場の放送で「タイムリミットが迫っているので急いでスタート地点についてください」と呼びかけられた。
干潟ならではの制限にどきどき
干潟ならではの時間制限に緊張しながらも、泥まみれの競技を楽しんだ。泥にまみれることで、普段の生活では味わえない解放感と、自然の厳しさを実感した。人生訓のようにも感じられるこの経験は、参加者にとって忘れられないものとなった。



