全国の地方銀行97行の2026年3月期決算がまとまり、純利益の合計が前年比4956億円(37.9%)増の1兆8043億円となった。日本銀行の利上げにより貸出金利が上昇し、預金利息との差である利ざやが拡大したことが主因だ。しかし、利上げは保有する債券の評価損を膨らませ、売却損も増加させる副作用もあり、地銀にとっては「両刃の剣」であることが改めて浮き彫りとなった。
純利益は2年で2倍弱に拡大
金融庁が埼玉りそな銀行を含む97行の決算を集計した。本業の収益力を示すコア業務純益は6786億円(34.7%)増の2兆6368億円。3月末の貸出金残高は前年比15.9兆円増の349.1兆円に達した。
好業績の背景には、日銀が2025年末までに政策金利を0.75%に引き上げたことがある。各行は貸出金利を引き上げることで、預金者への支払利息との差である利ざやを拡大させた。純利益合計は、日銀がマイナス金利政策を解除した2024年3月期の9582億円から2年で倍近くに増加した。
この構図は、最高益を記録した3メガバンクとほぼ同じだ。
地銀最大手の横浜銀行を傘下に持つ横浜フィナンシャルグループ(FG)は、純利益が前年比28.6%増の1065億円。横浜銀の利ざやが前年比0.11ポイント増の1.15%となったことが大きく寄与した。千葉銀行は4年連続で過去最高益を更新した。
日銀は16日に追加利上げを決める公算が大きく、各行の2027年3月期の業績予想も強気だ。横浜FG、千葉銀のほか、静岡銀行を中核とするしずおかFG、地銀4行を持つ九州最大手のふくおかFGは、それぞれ純利益が1000億円の大台に乗ると見込んでいる。
債券運用のジレンマ
一方で、利上げは地銀にとって課題ももたらす。保有する債券の評価損が拡大し、売却益が減少するためだ。特に規模の小さい地銀ほど、債券運用の比重が高く、利上げの影響を強く受ける傾向がある。赤字覚悟で債券を売却し、資金を貸出に振り向ける動きも出ている。
地銀の経営は、利上げによる貸出利益の増加と債券損失の拡大というトレードオフに直面しており、今後の金利動向次第で業績が左右される可能性がある。



