安藤忠雄氏設計の複合施設が新たな転換期へ
兵庫県は、世界的に著名な建築家・安藤忠雄氏が設計を手掛けた複合リゾート施設「淡路夢舞台」(兵庫県淡路市)の中核を成すホテル・展望テラス、国際会議場の売却を正式に決定しました。県は3月13日から運営事業者の公募を開始し、神戸空港の国際チャーター便就航などで観光・ビジネス需要の増加が見込まれる状況を踏まえ、地域に新たな投資を呼び込む拠点としての再生を目指す方針を明らかにしています。
阪神大震災からの創造的復興の象徴
淡路夢舞台は、兵庫県の第三セクター「夢舞台」が運営を担ってきました。この施設は、阪神・淡路大震災で失われた尊い命への鎮魂と、被災した自然環境の再生を主要なテーマとして掲げ、創造的復興の象徴的プロジェクトとして2000年に開業しました。安藤忠雄氏の独創的な設計により、国内外から多くの観光客や建築関係者が訪れる名所として発展してきました。
しかし、近年では施設の老朽化が深刻な課題となっています。特にホテル部分については、県が修繕費として年間3億円から5億円もの多額の支出を継続しており、財政負担の軽減が緊急の課題となっていました。この状況を受け、兵庫県は施設の今後のあり方について長期間にわたる検討を重ね、今回の売却・公募という決断に至ったのです。
公募条件と今後の運営方針
公募は、国内で宿泊施設の運営実績が5年以上ある法人などを対象に、公募型プロポーザル方式で実施されます。ホテル・展望テラス、国際会議場のいずれも土地と建物を一体として売却する計画です。特に国際会議場については、用途を限定せずに幅広い提案を募集する方針が示されました。これは、事前調査で関心を示した事業者が限定的であったことに加え、施設の稼働率が低迷している現状を考慮した判断です。
一方で、階段状に100区画の花壇が美しく並ぶ「百段苑」など、施設内の特定エリアについては指定管理制度を継続することが決定されています。県と民間事業者、地元関係者らで構成する運営協議会を新設し、夢舞台全体の運営の一体性や公共性を確保する取り組みも進められます。
新体制への移行スケジュール
兵庫県は、9月下旬までに優先交渉権を持つ事業者を選定し、詳細な引き継ぎ手続きを経た上で、2027年4月からの新体制での運営開始を目指しています。このプロセスを通じて、淡路夢舞台が単なる観光施設から、地域経済を活性化させる投資拠点として生まれ変わることが期待されています。
安藤忠雄氏の建築遺産としての価値を維持しつつ、持続可能な運営モデルを確立することは、今後の地域開発において重要な課題となるでしょう。兵庫県の大胆な決断が、淡路島全体の観光振興と経済発展にどのような影響を与えるのか、関係者の注目が集まっています。



