和歌山県が天ぷら油のSAF再利用実証事業を2年間延長 エネオスの生産遅れが要因
和歌山県は、家庭で使用した天ぷら油などを回収し、次世代航空燃料「SAF(持続可能な航空燃料)」への再利用を目指す実証事業について、実施期間を当初予定の2025年度末から2年間延長することを発表しました。この決定は、石油元売り大手のエネオス(本社・東京)が有田市で進めるSAF生産が当初計画より2年遅れることが影響しています。県は延長期間中に、さらなる事業の定着を目指す考えを示しています。
実証事業の背景とエネオスの生産遅れ
この実証事業は、エネオスによる和歌山製造所(有田市)でのSAF生産計画を受けて、2024年7月に開始されました。当初は2025年度末での終了を予定していましたが、エネオスが2025年2月に、技術者不足などを理由に生産開始が2年遅れ、2028年度以降になると発表したため、県は事業期間の延長を決定しました。
県成長産業推進課によると、これまで回収量や費用を検証するため、県内のスーパーなどに使用済みや賞味期限切れの植物性食用油を回収する拠点を設置。2026年1月までに計約2万8000リットルを回収したと報告しています。現在、SAFへ再利用できる施設が県内で稼働していないため、集まった油はバイオディーゼル燃料に加工して利用されています。
連携協定の締結と今後の展望
今月18日、県は回収事業の継続にあたり、実証事業で集まった油の収集・運搬などを担う植田油脂(大阪府大東市)とエネオスの3者で、連携協定を締結しました。県成長産業推進課の担当者は、「実証事業を通して、油の回収が浸透してきた。将来的なSAFの生産開始を見据え、県民に引き続き広めていきたい」と話しています。
回収拠点は18日現在、和歌山、海南、有田、田辺、岩出、橋本各市と湯浅、白浜両町の計61か所に設置されており、詳細は県のホームページで案内されています。問い合わせは同課(073・441・2373)までとなっています。
この取り組みは、環境問題への対応として注目されており、地域住民の協力のもと、持続可能なエネルギー活用のモデルケースとして発展が期待されています。県は延長期間中、回収システムの効率化や市民への啓発活動を強化し、SAF生産開始に向けた基盤整備を進める方針です。



