南鳥島核ごみ処分場調査に揺れる小笠原村 国からの突然の申し入れに村民は困惑
南鳥島核ごみ処分場調査 突然の国申し入れに小笠原村困惑

南鳥島核ごみ処分場調査に揺れる小笠原諸島

原発から発生する高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場選定をめぐり、東京都心から約1950キロ離れた南鳥島での文献調査の申し入れを国から受けた東京都小笠原村。村役場が所在する父島を訪れると、約1200キロも離れた孤島で突然浮上したこの「国策」に対して、村民たちは深い戸惑いを隠せない状況だ。正確な情報の提供と丁寧な議論の場を国や村に求める声が、島のあちこちから聞こえてくる。

突然の国からの申し入れに「狙い打ちされたよう」

東京・竹芝桟橋から定期船「おがさわら丸」で24時間かけて到着する小笠原村父島の二見港から、わずか数分歩いた場所にある飲食店。観光客や島民でにぎわうこの店を経営する46歳の男性は、困惑の表情を浮かべて語る。

「急に出てきた話で、狙い打ちされたような感じがします」

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これまで文献調査を受け入れた北海道の寿都町や神恵内村、佐賀県玄海町とは異なり、国は自治体からの手挙げや議会での議決がない段階で、2026年3月3日に小笠原村に対して直接申し入れを行った。経済産業省などは3月14日に父島、21日に母島で村民説明会を各2回開催し、村の人口の約1割に相当する計308人が参加した。

飲食店経営の男性は調査そのものには理解を示しつつも、「説明会に全員が参加できるわけではありません。理解を深める機会をもっと増やしてほしい」と訴える。

「国が一方的に選ぶのはおかしい」

父島で50年以上暮らす70代の男性は、国による一方的な選定プロセスに強い憤りを感じている。

「国が一方的に選び、調査を受け入れるかどうかを村民で決めてくれというのはおかしいです」

小笠原諸島は戦後一時、米国の施政権下に置かれ、父島と硫黄島には米軍基地が設置された歴史的背景を持つ。この男性はその点にも言及し、「軽々に決めるのではなく、南鳥島の現状や村の歴史、戦争を経て村がたどった経緯を正確に理解したうえで、受け入れについて判断しなければなりません」と強調する。

南鳥島の地理的・社会的特殊性がもたらす無関心

南鳥島ならではの事情が、村民の関心の度合いに少なからぬ影響を与えているようだ。村役場のある父島から南鳥島は約1200キロも離れており、面積はわずか約1.5平方キロメートル。全域が国有地で、一般の住民はおらず、訪れたことのある村民はほとんどいない。

30年以上にわたり観光業に携わる移住者の50代男性は、「無関心に近い状態で、状況も把握できておらず、ノーと言える段階でもない」と本音を明かす。

10年ほど前に父島に移住した別の住民も、「南鳥島のことはほとんど知らない。国がなぜそこを選んだのか、もっと詳しい説明が必要だ」と語る。

求められる丁寧な説明と住民参加のプロセス

今回の申し入れをめぐっては、村民説明会が開催されたものの、参加者が限られていることへの不満も根強い。多くの村民が指摘するのは、「国が一方的に進めるのではなく、住民が納得できる形での情報提供と議論の場が不可欠」という点だ。

小笠原村の歴史的経緯や地理的特性を考慮すれば、単なる「国策」として押し進めるのではなく、地域の実情に即した丁寧な対話が求められる。南鳥島が最終処分場候補地として浮上した背景には、原発を抱える自治体からの圧力や、処分場選定プロセスの行き詰まりがあるとされるが、その実情についても透明性のある説明が欠かせない。

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村民たちは今、突然降りかかった重大な課題に対して、正確な情報を基にした判断を求められている。国と村による継続的で丁寧な説明、そして住民参加型の議論のプロセスが、今後の展開を左右する鍵となるだろう。