中堅・中小企業の脱炭素化を支援する炭素会計アドバイザー協会の取り組み
中小企業の脱炭素化を支援する炭素会計アドバイザー協会

中堅・中小企業の脱炭素化を後押しする炭素会計アドバイザー協会

脱炭素社会の実現には、大企業だけでなく、中堅・中小企業の積極的な取り組みが不可欠だ。こうした企業の人材育成を支援しているのが、中部電力ミライズや豊田通商、三菱UFJ銀行などが2022年に設立した「炭素会計アドバイザー協会」である。同協会は、環境省認定の民間資格「炭素会計アドバイザー資格」を国内で初めて創設し、国際ルールに則った温室効果ガスの算定や情報開示に対応できる人材の育成に力を入れている。

資格制度の詳細と現状

炭素会計アドバイザー資格は、実務を担える1級2級、基礎知識の習得を目指す3級の3段階で構成されている。現在は2級までの試験が実施済みで、3級の合格者は約2万人、2級合格者は約1000人に達した。2026年度には、最高位となる1級の講習と試験も実施する計画が進められている。

協会の法人会員企業数は、金融業やサービス業などを中心に約100社にのぼる。これらの企業は、脱炭素関連規制の改正に関する情報を共有しながら、取引先の中堅・中小企業に脱炭素の重要性を訴えている。また、有資格者の裾野を広げることで、より多くの企業が脱炭素化に取り組みやすくなる環境づくりを目指している。

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鈴木修一郎代表理事に聞く脱炭素の課題

炭素会計アドバイザー協会代表理事の鈴木修一郎氏は、中堅・中小企業の現状について次のように指摘する。「規模が小さい企業は、脱炭素の重要性への理解が進んでいない場合が多い。まずは、製品が地球環境にどのような負荷をかけているのかという観点から理解を深めてほしい」と語る。

特に、温室効果ガスの排出量計測では、「スコープ3」(供給網全体での排出量)が大きなハードルとなっている。鈴木氏は「スコープ3は企業のバリューチェーンに基づく排出量管理であり、財務会計的な考え方が反映される場面も多い。この違いを理解できている人はまだ少ない」と説明する。単なる計算だけでなく、本質的なビジネスモデルの転換が重要だと強調している。

中堅・中小企業への具体的な支援策

中堅・中小企業の負担軽減に向けては、地域金融機関や電力会社などの大企業が支援する形が有効だ。鈴木氏は「金融機関には脱炭素への取り組みについての相談が増えている。企業側がしっかりとした知識を持っていれば、コミュニケーションが取りやすくなる」と述べる。

ビジネスモデルの転換例としては、製品販売からシェアリングやレンタル、修理サービスなどへの移行が挙げられる。こうした変化により、利益当たりの排出量を減らすことが可能になる。

開示義務の拡大と今後の展望

企業の脱炭素に関する開示は、日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が公表した基準に基づき、段階的に拡大される。具体的には、2027年3月期から株式時価総額「3兆円以上」、2028年3月期から「1兆円以上」、2029年3月期から「5000億円以上」の上場企業に有価証券報告書による情報開示が求められる。

「5000億円未満」の企業については、開示時期が数年後に結論づけられる予定だ。特にスコープ3では、大企業が取引先に脱炭素の積極的な取り組みを求める可能性が高く、中小企業もサプライチェーンから排除されるリスクがある。このため、中堅・中小企業は早めに脱炭素に資するビジネスモデルへの転換を模索することが重要となっている。

炭素会計アドバイザー協会は、こうした動きを後押しするため、人材育成と情報共有のプラットフォームとしての役割を果たし続けていく方針だ。

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