ホルムズ封鎖でアジアが石炭火力回帰、温暖化対策に逆風
ホルムズ封鎖でアジアが石炭火力回帰、温暖化対策に逆風

ホルムズ封鎖でアジアが石炭火力回帰、温暖化対策に逆風

ホルムズ海峡が事実上封鎖され、中東湾岸地域からの原油や液化天然ガス(LNG)の輸送が滞る中、アジアの国々が電力供給を石炭火力発電に頼り始めている。温暖化対策のために、発電時に二酸化炭素を多く排出する石炭火力の活用を控える「脱石炭」の流れは、エネルギー危機を受けて逆回転し始めており、気候変動への取り組みに新たな試練をもたらしている。

中東紛争の激化とエネルギー価格の高騰

米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発した中東での攻撃の応酬は、周辺国も巻き込んで激化している。2026年3月18日には、カタールにある世界最大のLNG輸出拠点ラスラファンが攻撃を受けるなど、エネルギー施設の被害が相次いでいる。これに伴い、エネルギー価格は世界的に高騰しており、米ブルームバーグ通信によると、3月19日の欧州の天然ガス価格は最大35%急騰し、衝突開始前の2倍以上となった。発電用のLNGを輸入に頼るアジアの国々は、電気の安定供給のため、より調達しやすい石炭火力に切り替え始めた。

タイの大型石炭火力発電所がフル稼働

タイの発電公社は3月17日、北部ランパン県にある大型のメーマウ石炭火力発電所(出力114万キロワット)が、フル稼働の状態になったと発表した。廃止予定だった同発電所の二つの発電機(同計60万キロワット)も、有事に備えて再稼働できるよう手続きを進めている。タイは発電量に占めるLNG火力の比率が約6割で、燃料の半分ほどをカタールなどからの輸入に頼っている。近年は温室効果ガスの排出削減に向けて石炭火力の稼働率を下げてきたが、国内で調達できる石炭火力に頼らざるを得なくなった。公社は、1987年に運転開始したこの発電所の稼働が「タイへの経済的影響を軽減する重要な防波堤になる」としている。

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フィリピンも石炭火力に依存強化

フィリピンでは、エネルギー危機に対応するため、石炭産出国との安定調達を目指す動きが加速している。同国は電力供給の多くを輸入燃料に依存しており、ホルムズ封鎖によるLNG価格の高騰が深刻な打撃を与えている。このため、政府は国内の石炭火力発電所の稼働率を上げ、脱炭素政策を見直す圧力が高まっている。アジア全体で、エネルギー安全保障と温暖化対策のバランスが難しい局面を迎えている。

この状況は、国際的な気候変動対策の目標に逆行する可能性があり、各国の政策転換が注目される。アジアのエネルギー需給は、中東情勢の推移によってさらに不安定化する恐れがある。専門家は、長期的な脱炭素の実現には、再生可能エネルギーへの投資拡大が急務だと指摘しているが、短期的なエネルギー危機が優先される現状では、石炭火力への回帰が続きそうだ。

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