原子力施設へのドローン飛来対策を強化 検知機器の設置を義務化へ
原子力規制委員会は2026年3月18日、原子力発電所や再処理施設などの上空に飛来するドローンを検知する機器の設置を電力会社に義務づける方針を決定しました。この決定は、ドローンの性能向上に伴うリスクの高まりを背景としており、海外では実際に原子力施設への攻撃にドローンが使用された事例も存在することから、新たなセキュリティ対策が求められていました。
対象施設と具体的な義務内容
設置義務の対象となる施設は、国内の全ての原子力発電所、使用済み核燃料の再処理施設、さらに大学や研究機関が保有する研究用原子炉などが含まれます。具体的には、東京電力福島第一原子力発電所もその対象に含まれることが明らかになりました。これらの重要施設が破壊されたり、核物質であるウランやプルトニウムが盗難に遭うリスクを軽減するため、ドローンを検知可能な設備の導入が義務づけられることになります。
規制委員会は、関連する規則の改正手続きを進めており、2026年3月19日から30日間のパブリックコメント(意見募集)を実施した後、正式に決定する予定です。施行後は、電力会社をはじめとする関係事業者に対して、2年以内に対応を完了することが求められます。この期限設定は、迅速なセキュリティ強化の必要性を反映したものと言えるでしょう。
国内での事例と背景にある懸念
今回の決定には、国内で発生した具体的な事案も影響しています。昨年2025年7月には、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県)の上空で、警備員が「三つの光」を目撃し、規制委員会や県警察に通報するという事件が発生しました。光は約2時間にわたって断続的に確認されましたが、結局ドローンは発見されず、県警察は「航空機の光をドローンと誤認した可能性が高い」と説明していました。
しかし、このような未確認事例が発生したこと自体が、原子力施設周辺における監視体制の脆弱性を浮き彫りにしました。規制委員会は、たとえ誤認であったとしても、潜在的な脅威に対処するための予防措置が不可欠であると判断し、検知システムの義務化に踏み切ったのです。
国際的な動向と今後の展望
世界的に見ると、ドローン技術の進歩に伴い、重要インフラへの悪用が懸念されています。特に原子力施設は国家の安全保障上、極めて重要な施設であり、海外では実際にドローンを用いた攻撃や偵察行為が報告されていることから、日本としても対策を強化する必要に迫られていました。
今回の方針決定は、単なる機器導入の義務化にとどまらず、原子力施設全体のセキュリティ・プロトコルを見直す契機となる可能性があります。規制委員会は、今後も技術の進展や脅威の変化に応じて、必要な規制や指導を継続していく方針を示しています。電力会社側には、コスト面や技術的な課題も予想されますが、社会的責任の観点から、早期の対応が期待されるでしょう。



